【介護職】奴隷みたいで辛い…と思うならイカれてるくらいの信念を持とう
こんにちは、たくろうです。
僕は施設介護士としてキャリア9年の介護福祉士です。
正直、この仕事を選んだ理由は「もう介護くらいしか出来る事がない」と考えたからです。
介護をやるか川原でブルーシートでマイホームを持つか、それくらい追い込まれた結果選んだので、できることならやりたくない仕事でした。
でした、というか、今もそれほどやりたいと思う仕事ではないです。
そんな介護嫌いの、わりと歪んだ理由で介護に入職した僕ですが、ある時
「介護は『利用者さんの生活を手伝う』のであって、『サービス』をするのは介護じゃない」
という考えに至りました。
例えば杖はあなたの歩行を手伝ってはくれるけど、歩くのはあなたですよというお話。
利用者さんが生活をするのを「手伝う」のであって、手取り足取りして利用者さんが出来る事をやってあげるというのは介護ではないと思っています。
もうそれはアラブの石油王の脇でデッカイ葉っぱで仰いでるビキニのオネーチャンと変わりないじゃんと。アラブの石油王のイメージが中世ですけど。
僕は幸いにもこのような考え方をみせてくれて、形成させてくれる先輩や上司に恵まれたので、信念をつくり「これでいいんだ」と思わせてもらえることができました。
日々、ただただリーダーや利用者さんのいう事を「はい」「やります」ときいているばかりの介護職はかなり辛いと思います。
そんな日々を過ごしていると「自分は奴隷と変わりないんじゃないか」と考えてしまうことになります。
自分の信念をもち、判断基準を持って介護をすることによって、少なくとも「自分は利用者さんの奴隷ではない」と思うことができるようになります。
僕たち介護士は奴隷じゃない
何度も言いますが、介護士は奴隷じゃありません。
「利用者さんが生活をする」という行為を手助けする仕事です。
例えば、自分で常食のご飯を食べれるくらいの指先の力がある利用者さんに「TVのチャンネルを変えて」とナースコールで呼ばれて行って、「はいはい変えますよ。何が見たいですか」なんてやるのは奴隷です。
そうではなくて、利用者さんに「じゃあリモコンを持ってみてください」「野球が見たいんですか? でも何チャンネルかわからないのでご自身でチャンネルを変えてみてください」「あ、このチャンネルですね」とやってもらうということが介護になります。
もちろん高齢になると様々なことを行うことが難しくなっていきますが、「できるかできないか」の判断をするのも僕らの仕事ですし、「利用者さんができることはやらない」というのも僕らの仕事になります。
「利用者さんに言われたから」「利用者さんの希望だから」で全てをその通りに行うのは介護ではないと考えています。
「イカれてる」と思われるくらいの信念を持つ
僕の職場の上司はわりとイカれていまして、
「とにかくトイレに行ってもらう」
「どんな利用者さんも普通のお風呂(自宅にあるようなバスタブ)に入ってもらう」
という信念を持っている人でした。
「とにかくトイレに行ってもらう」というのは当たり前の話だと感じる人も多いと思いますが、「夜間はとにかくオムツ」という職場も多いと思います。
また、「ある程度のリスクを負ってでも、2人介助をしてでもトイレに行って排泄をしてもらう」くらいまでいくと「おや、この人頭おかしいのかな」と感じることもあると思います。
僕が働いている職場も上記の通りで
「夜間は寝ぼけていて危ないからとにかくオムツ」
「リスクは負わず、わりとすぐにオムツへ移行」
というスタイルでした。
しかしその上司がきてから、色々反発もありましたがその反発の矢面に上司が立ち「これが正しいんだ」と有無を言わさず、自らも介助に入り、構造を改革していきました。
その結果、トイレに行くことによって利用者さんの活動度が上がったり、夜勤帯のオムツ交換の回数が減ることによって職場の負担が少し軽くなったりと良い効果が出ることに。
バスタブの方は設備的な面で実現はしませんでしたが、「どんな利用者さんもバスタブでお風呂に入れる技術」の啓蒙活動をするなど、控えめに言ってイカれてるなと思える人でした。
この上司と出会ったことによって、僕は「やはり人間として当たり前の生活をしてもらうということが最上位なんだな」と考えるようになりました。
- トイレに行けるならトイレに行く
- 歩けるなら歩く
- 自分で食べれるなら出来るところまで自分で食べてもらう
- 日中起きれるなら起きていてもらう
僕らにとってはなんでもないことですが、利用者さんにとってハードルが高いものもあります。
そのハードルをなるべく低くしてあげるのが僕らの仕事なんだなと。
「イカれてる」くらいが介護職は面白みを感じる
自分の信念に基づいてそれを貫こうとしても、介護職では様々な多職種との意見交換や摺り合わせが必要になるので気持ちが折られてしまうことも多々あります。
もちろん他の人の意見をきくのは必要ですし、自分が間違った方向に進んでいないかの確認は絶対に必要になります。
しかし、信念を持ち
「自分の考えはこうだ」
「絶対にこれが利用者さんにとってメリットがある」
と考えて突き抜けて行動していく、仕事をしてくほうが面白いです。
ただでさえ介護職は利用者さんの言いなりになっているとストレスばかりを感じてしまう仕事だと僕は思います。
いや、利用者さんのいうことを全て聞いて、全てその通りに手伝っていくということに喜びを感じる人もいるのかもしれませんが。
形はどうあれ、自分の信念で行動して結果が出ると嬉しいものですよね。
例えば上で紹介した上司の例でいくと、
「2人介助ででもトイレに誘導した利用者さんが、そこで排泄をしてくれた」
という結果が出れば、やはり嬉しいものですし、自分の考えは間違ってなかったと再確認できますよね。
「この人ちょっとイカれてる」と思われても、利用者さんのことを考えた上で信念を持って行動していると、つらい介護の仕事も少しは面白みを感じることができます。
まとめ
すべてを利用者さんの言うなりにしていると、まるで奴隷になったかのように感じてしまいます。
僕はそれに耐え切れなかったので、信念を持ちました。
「奴隷」ではなく「介護士」なので「やること」と「やらないこと」を自分で線引きし、やらなくていいこと、利用者さんに出来る事は徹底して利用者さんにやってもらうようにしています。
もちろん声かけの仕方などの工夫は必要ですが。
「利用者さんの言うことを聞いてばかりで辛い」
という人は、自分の信念と判断基準を持って行動すると、介護に少しは面白みがでてきますよ。