介護士が教える、高齢者の口腔ケア
こんにちは、たくろうです。
「最近おばあちゃんの口が少し臭うような気がするんだけど、しっかり歯磨きできているのかしら……」
なんてことありませんか。
高齢者にとって、口腔ケアを怠るということは誤嚥性肺炎の危険に繋がります。
しっかり口内の食物残渣(食べ残しのカス)を洗い流しキレイにすることで、誤嚥性肺炎のリスクを軽減するだけでなく、唾液の分泌を促して口内の自浄作用を高めたり、もちろん口臭を軽減させたりできます。
おばあちゃんがしっかり歯磨きができていないようであれば、声をかけたり手伝ってあげたりする必要があるかもしれません。
「あんたに言われなくたって大丈夫! ちゃんとやってるだから! あっちいってて!」
なんて言われ、どうしても手伝わさせてくれないようであれば、かかりつけの歯医者さんに相談するのも手です。
結構高齢者って「権威」的なものに弱くて、「あの先生が言ってたよ」とか「NHKでやってたんだよ」というと「へえ、そうかい」とすんなりやってもらえることがあります。
介護士が教える、高齢者の口腔ケア
高齢者の口腔ケアに必要なアイテム
- 歯ブラシ
- 歯磨き粉
- マウスウォッシュ
- コップ
- 入れ歯洗浄剤
- 舌ブラシ
- 歯間ブラシ
- スポンジブラシ
- ガーグルベース
上から順に、少し詳しく解説していきます。
歯ブラシ
これは皆さんも普段使っている普通のもので問題ないです。
かたさもご本人の好みで問題ないです。あえて言えば、高齢者は歯茎などが弱っていて硬いブラシでは痛いという方が多いので、やわらかいほうがしっかりとブラッシングしていただけるかなと。
歯磨き粉
こちらも皆さんが普段使っている普通のもので問題ないです。
好みのものを使ってもらってください。
マウスウォッシュ
高齢者にはあまり馴染みがないという方もいるかもしれません。
これは使わなくても良いけど、使えば雑菌の繁殖を抑えることができるので、できれば使っておいたほうがいいかな、というものです。
モノによっては原液をそのまま使ってぶくぶくうがいをするタイプがありますが、匂いや刺激がきついということであれば水で薄めて使ってもらって大丈夫です。
コップ
馴染みの使いやすいコップを使用してもらってください。
しかし、筋力が除々に落ちてきて、コップを持つのが辛いからうがいをしない、なんてことになり得ますのでなるべく軽くて、落としても割れないようなものを使用したほうが良いかと。
入れ歯洗浄剤
好きなものを使ってもらって大丈夫です。
モノによりますが、2~5分から一晩つけておくものが一般的です。
気をつけるポイントは、一旦浸したらその液は捨てること、浸け置いた義歯はしっかり流水で洗い流すことです。
舌ブラシ
こちらも高齢者にはあまり馴染みがないかもしれません。
舌磨き専用のブラシです。シリコン製のものが主流かもしれません。
口で食事を食べている方はあまり必要ないかもしれませんが、経管栄養での栄養摂取をしている高齢者にはぜひ使用したい一品です。
経管栄養は鼻やお腹から胃までチューブを通し、そのチューブから栄養を流し込んで栄養を得るものです。
そのため、口から食べ物を摂取する方と比べ、口を動かす機会がかなり少なく、口の筋肉も衰え、唾液が出づらくなり、自浄作用が落ちている状態になりやすいです。
特に舌苔と呼ばれる舌の汚れが付きやすい状態になりますので、経管栄養の方には舌ブラシはぜひ使っていただきたいです。
歯間ブラシ
こちらはきちんと残存歯がある高齢者向けですね。
高齢者になると歯茎が衰え、歯の根本が露出していく関係で、歯と歯の間にスキマがあくようになります。
歯間ブラシでしっかりとケアをし、いつまでもご本人の歯で召し上がっていただきたいですね。
スポンジブラシ
これは「ぶくぶくうがいができない」、「口内に水分が残っていると誤嚥しやすくなる」という方に向けて使用します。
なかなか馴染みがないものだと思いますが、細い棒の先にギザギザとしたやわらかいスポンジがついており、回転させながら口内をマッサージするように、全体をくるくるとまわして水分や残った汚れを掻き出していきます。
ガーグルベース
これは「ぶくぶくうがいはできるけど、洗面まで体をもっていくことができない」という方が使用する、「ぶくぶくうがいを吐き出す受皿」になります。
これがあると例えばベッド上でも利用者さんは残存機能に合わせて気軽にうがいをすることが出来ます。
口腔ケアのやりかた
ご自身の歯、差し歯がある方
この方々は、僕らとやることはほとんど変わりません。
- 歯磨き粉をつけブラッシング
- しっかりとぶくぶくうがいをしてもらう
- 洗面に吐き出してもらう
- 歯間ブラシを使用
- 食物残渣がないか確認
- ぶくぶくうがいをしてもらう
入れ歯を使用している方
- 入れ歯を外してもらう
- 入れ歯を水洗い
- 歯磨きをつけブラッシング
- しっかりとブクブクうがいをしてもらう
- 洗面に吐き出してもらい、食物残渣がないか確認
- 入れ歯を装着(装着しない方もいる)
ほとんど自信の歯がある方と変わらないですね。
ちなみに入れ歯は傷がつくとそこから雑菌が入りやすいものなので、無理矢理にブラッシングする必要はありません。
あきらかに大きなゴミがついている場合のみ実施で良いかと。
総入れ歯の方
- 入れ歯を外してもらう
- 入れ歯を水洗い
- 舌ブラシで舌と顎の裏側をマッサージ
- ぶくぶくうがいができるようであればしてもらう(出来なければ、ハミングッドを使用、マッサージするように口内全体をくるくると拭き取る)
- 入れ歯を装着していただく
高齢者の口腔ケアの注意点
高齢者は嚥下能力が落ちている方がいらっしゃり、ただの水すら凶器になりえます。
嚥下能力が低下している方へのケア方法は、基本的には変わりません。
自信の歯があればブラッシングをして、うがいができればうがいをしてもらいます。
うがいが終わったあと、もしくはうがいができない方にはスポンジブラシを使用して下さい。
これは唾液や水分、ブラッシングで汚れた唾液をすべてスポンジで吸収するイメージです。
こうすることによって、自信の唾液や口腔ケア後の水でむせて誤嚥するリスクが低くなるべ訳です。
介護士が教える、高齢者の口腔ケア
というわけで、介護士が高齢者の口腔ケアの基本をご紹介しました。
やはり気をつけるべきポイントとしては「嚥下能力が落ちている利用者さんの口内には、誤嚥性肺炎のリスク回避のために基本水分を残さない」というところです。
いつまでも元気でいてもらうために、ご飯は大事ですからね。
しっかり歯をケアして、しっかりご飯を食べて、元気に過ごしてもらいましょう。