納豆のような生き方ができれば幸せだ

僕は常々「どうにかしてニートになれないものか」と考えています。

ニートとは、日本では「15~34歳までの、家事、通学、就職をしておらず、職業訓練も受けていない者」とされています。
つまり「何もしていない人」のこと。
「レンタルなんもしない人」という有名な方がいらっしゃいますが、レンタルもされることなく何もしない人、それがニートとなります。

僕はもはやアラフォーという完膚なきまでにおっさんですので、どうあがいてもニートにはなれません。年齢制限があります。
なれるとすれば35~44歳までのなんもしない人の呼称である「中年無業者」です。
中年無業者って、なんか一気に絶望感が増しますね。絶望と悪意が手を繋いでやって来た感がありますね。
「レンタルなんもしない中年無業者」とか絶対レンタルしたくない。

しかしそれでも、たとえ中年無業者と呼ばれようとも働きたくない。
ずっとずっと家に閉じこもっていたい。もうそのままミイラとかになっても良い。
埋葬品とかいらないから、身分の低い方で良いからファラオみたいになりたい。ずっとピラミッドから出たくない。

しかし、残念ながら僕は生きています。
生きるためには生命活動を行わなければなりません。
すなわちメシを食わなければいけないのです。

山にこもって自給自足! 山でのニート生活! とかほんの少し憧れたりはしますが、僕は体力も知識もない中肉中背の完全無欠のおっさんなので、山で自給自足なんてしようとしたらまず野垂れ死ぬこと請け合い。生水飲んでお腹壊して餓死する未来しか見えない。

僕は野生では生きてはいけない。
生きるために、メシを食うためには、この社会の歯車の一部になるしかないのです。
「ニートになりたい」なんて考えたところで貯金もなければスキルもない。
少し老人の尻を拭くのが上手。それくらいのものなので、どう考えてもこのまま働くしかないんです。
ていうかそもそも外に出たくないのに山の中でとか生きていける気がしない。

そんな仄暗い感情を抱えたまま、「まあ今はメシも食えて酒も飲めてるから別にいいや」というO型特有の適当さを発揮し、スーパーへ行った時のこと。

僕はスーパーで呆然としていました。

御飯の材料を買いにスーパーに行く時、明確な目的を持って行く場合と、何が食べたいのかイマイチ掴みきれず、なんとなくスーパーに行く場合があると思うんです。
その時の僕は前者で、明確な目的を持ってスーパーへ足を運んでいました。

納豆が食べたい。

何故かわからないけど、狂おしいほどに納豆が食べたい。

納豆とは日本の国民食と言われるほどにメジャーな食品でいちいちこんな些末ブロガーである僕が説明する必要もないと思うんですがあえて言わせて頂くと、納豆とは納豆菌によって大豆を発酵させた食品です。
なぜこんなまどろっこしい事を書くのかといいますと、このブログのコメント欄は何故か英字で溢れかえっていて、コメントくれる人くれる人、全員が全員英字なんですよ。
最初誰かがイタズラでわざわざ日本語から英語に変換してコメントを叩きつけてくれているのかと思ったんですが、そうでもないっぽい。
というかそんな手の込んだイタズラをされるほどアクセスのあるブログではないですし、そもそも内容がイタズラっぽくない。

「ブログのセキュリティ問題について」とか「ブログのデザインについて」とか、なんでそれを僕に聞いてくるの? しかも英語で。という全くもって意味不明なコメントが多くあり、これは世界七不思議の一つに数えられるのではないだろうかってくらい。ナスカの地上絵か英語コメントかってレベルで意味不明。
最近なんて狂ったように「cam girls」「teenage girls cam」とか言ってくるコメントばっかり。カムカムカムカムうるせーんだよ亀梨くんかお前はってくらいカムしか言わない。全部スパムにぶちこんでくれるわ。
そんなわけで、もしかしたらこのブログは英語圏の方しか読んでいないのではないかという仮説が立てられたので、あえて言わせて頂きます。
納豆とは納豆菌によって大豆を発酵させた食品です。

そんな納豆が狂おしく食べたい。
たまにありますよね、意味不明に特定の食品が食べたくなる時。
まさにそれです。

今、僕は、納豆が食べたい。

そんなわけで入店と同時に一目散に納豆コーナーへと足を運んだんですけど、無いんです。

納豆がないんです。

いやいや、ありえないんですけど。
なんで? どうして? 茨城県が滅亡したの?
納豆業者が全員ニートになったの?
納豆菌が死滅してるの?

少し調べてみたところによると、「納豆がコロナ予防に効果があるというデマが流れた」という情報が見つかりました。
「納豆=健康食=疾患予防=コロナに効果的」という理屈となり、買い占めが発生。
買い占めを見た人が「あ、買い占められてる。やっぱ納豆ってコロナに有効なんだ☆」となりその人も買い占め。
それを見た人がまた「あ、買い占められてる。やっぱ納豆ってコロナに……」といった構図となり、スーパーから納豆が消え去ったという話のようです。
うん、バカじゃねえの。

もう少し調べてみると、納豆が納豆たる「ナットウキナーゼ」には血栓溶解を促進する作用があるとのこと。
新型コロナウイルスは血栓を形成するということがわかってきており、ナットウキナーゼによってこの血栓を溶解できるという話になってくるので「納豆はコロナに有効」というのはあながち完全なるデマというわけでもなさそうなんですけどそんなことはどうでもいいんです。
血栓溶解とか血栓を形成とか早口言葉みたいなことはどうでもよくて、僕はただただ単純に納豆が食べたいだけなんです。
純情な感情で納豆が食べたいだけなんです。

だいたいね、百歩譲ってティッシュだとかトイレットペーパーだとかの買い占めはわかりますよ。
褒められたものではありませんが、無くなったら代替の効かないものが買い占められるのは理解できます。
僕たちは今更、ウンコした後に葉っぱでケツを拭くことはできません。
ウチの周りには狂ったようにドクダミが生えているんでこいつでケツを拭くこと自体はできますが、ウンコとドクダミが合わさってケツが地獄のような臭気を放つことになってしまう。スカンクとか呼ばれてしまう。それは避けたい。
人として生きたい。
トイレットペーパーを使って人として生きたい。
そういった理由で買い占められるのはわかります。
そしてこんなことを考えている時点で、僕はやはり自給自足生活なんて不可能だなということがわかります。

でも納豆は違うじゃないですか。
他のものでも代替が効くわけじゃないですか。
血栓の溶解を食品で促進しようと思ったら、少し調べればたくさん出てくるわけですよ。
梅干し、イワシ、サンマ、ブロッコリー、たまねぎ、昆布やワカメ、ニラ、サバ、ナッツ類……。
様々な食品を摂取することで、様々な角度からの血栓溶解効果が期待できますし、バランス良く様々な食材を摂取することはそれこそ君たちが納豆を買い占めするほど望んでいる「健康効果」ってやつを享受できることになるんとちゃうんか? ん? お? ああん??

僕らは社会を形成し、様々なものと共存しています。
様々な植物や動物、そして「他の人間」と共存しているのです。
たくさんの人間とともに、この社会を回す歯車として生きているのです。

自分ひとりが納豆を買い占めて健康になれれば良い。
自分ひとり血栓ができなければ良い。
そんな考えはこの社会で共存できているとは言えません。

どうせ買い占めするなら納豆業者の株式とかも買い占めるくらいの意気込みを見せてほしい。
そして自分のためだけに納豆を作らせて、全て自分の家に納品させるくらいやってほしい。
なんなら納豆を包む藁とかも買い占めてほしい。
覚悟の違いを見せつけてほしい。

結局のところ、僕たちは自分勝手にしか生きることができません。

ウイルスだって菌だって、自然界に普通に存在しているものです。
それが人間にとって有益だから、自分たちのために数を増やす。
それが人間にとって害悪だから、自分たちのために数を減らす。

人間にとって有益か害悪か、共存させるかさせないか、それは完全に主観によって決められるのです。

そもそも納豆だって、納豆という食品を作ろうと思って作ったわけではありません。
諸説ありますが、納豆とは偶然によって生成された食べ物です。
偶然生まれた納豆が、「美味しさ」だったり「健康効果」だったりと人間にとって有益だから、そのもとである納豆菌が培養されたわけです。

納豆菌からしたらまさに青天の霹靂ですよ。
普通に生きていたら人間に有益判定を下され、恐ろしい数に繁殖することになったわけですからね。
ただただ生命活動をしていたら、それが他の生き物にとって「有益」だったってことですからね。

僕も納豆菌みたいに生きていきたい。
ただただご飯を食べて、ウンコして、寝て、youtube見て、映画見て、ご飯食べて、酒のんで寝て、という生活をしていたら「君には生きているだけで多大なる利益がある。是非今後も頑張って生きてほしい」って言われたい。
培養されて数を増やしたい。
いやそれはなんかイヤだ。自分がたくさんできるとかこの世の終わりだ。

でもそんな風に、他人から有益と言われながらニート生活をしてみたい。
納豆菌みたいな他人に有益なニートになりたい。

「どうにかしてニートになれないものか」

そんなことをブツブツと呟きながら、空っぽの納豆コーナーを眺めていました。

 

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