介護の仕事は本当にきついの?【勤続9年の介護士が答える】

2019年5月28日介護

3Kとも4K(きつい・汚い・危険・給料少ない)とも言われる介護の仕事。

「これから介護の仕事をしてみようかな」という方に向けて、有料老人ホームで勤続9年目の僕が
介護職は「本当にきついのか?」「やりがいはあるのか?」について話をしてみたいと思います。

4Kについて:本当に汚い?

これは主に利用者のオシモのお世話の話になると思います。
ここについては、素直に汚いと言うしかないです。だってウンコとかオシッコだもの。

ただ、これについては3日とは言いませんけど、1ヶ月もすると絶対、完全に慣れます。
いや、何度見ても汚いのは間違いないですけど、「ああ、はいはい」くらいになります。
毎日毎日何度も何度も排泄物を見ていれば、そりゃあ否応なしに慣れちゃいますよ。
それに、支給される使い捨てのディスポグローブを装着して介助を行いますので、排泄物を直に触ることは絶対にありません。

介護士は観察が重要な仕事になるので、排泄物の形状や量をしっかりみることは介護職としての基礎になります。
例としては、水みたいなお通じを1日出し続けてる利用者について看護に報告して、下剤の投薬量を減らしてもらう等です。
やたら濃い色の尿を出している利用者さんの水分摂取量をみて、少なければ水分を勧めるとかですね。

また、ここは「危険」とも繋がってきますけど、たまに利用者の嘔吐を処理することもあります。
この場合もグローブを完全装着して対応にあたるので、汚いは汚いですけど、まあそこまででもないかな、という感じですね。

ということで、4Kのうち「汚い」は本当です。慣れますが。

4Kについて:本当に危険?

先に書いてしまいますが、これも本当に「危険」です。

感染症の危険

上に利用者の嘔吐の対応をすることがあると書きましたが、まあ酒飲んで吐くなんてことはないわけで、嘔吐した場合はノロウイルス等の感染症の可能性を考えなければいけません。
また、利用者の既往として様々な感染症を持っている可能性があります。これらが例えば唾液や血液、排泄物とかから感染する可能性があるわけですね。
インフルエンザに感染した利用者の介助をしなければいけない場合もあります。

利用者さんからの暴力

認知症状の進んだ利用者さんが「殴ってくる」「蹴ってくる」「噛み付いてくる」「ひっかいてくる」などがあります。
時には手近にあるテレビのリモコンなんかでも殴ってくる場合もあります。
武器がある分、「武器なし、ルールなし」のグラップラー刃牙の地下闘技場よりなんでもありです。
僕は男なのである程度余裕を持って接することができますが、女性の場合は男性の利用者さんを相手にすると恐怖を感じることがあると思います。

腰痛

上記の利用者さんの暴力による怪我の可能性もありますが、特に「腰痛」は介護士とは切っても切れない悩みです。
介護士は様々なシーンで利用者さんを色々なものへ移乗(トランス)します。車椅子や椅子、ベッド、トイレ。
介護職員初任者研修(ヘルパー2級)資格取得の際に基本は学びますが、それを実践してもほぼ必ず腰痛を発症します。
長く身体介助をする介護士をやっていて、腰痛を持っていない介護士は居ないんじゃないかなと思うほどです。

僕も腰や背中にビキッ! ときたことが何度かあります。
下記の記事にあるようにストレッチしたり、コルセットを使ったり、介助方法を工夫したりしています。

 

4Kについて:給料安い

僕のある月の給料は手取り260,000円でした。
これには
介護福祉士資格手当て:30,000円
夜勤手当:30,000円(夜勤6回)
ほか勤続給や住宅手当、交通費等を含みます。

多分正社員の介護士(高卒)としては中の中くらいじゃないかなと思っています。
大学を卒業してればもう少し上がるし、役職がついていてももう少し上がるかなと。
ダメ介護士なもんで笑。
また、派遣社員で夜勤専従として働くと月30万以上とか貰えるところもあると思います。

多いか少ないかは人によると思いますが、僕は満足とまではいきませんが、まあこんなものかなと。

ということで、「給料安い」は会社にもよりますが、そうでもないのかなと僕は思います。

4Kについて:きつい

「『汚い』し『危険』、『給料』は中の中くらい。それ以外に具体的には何が『きつい』の?」

この「きつい」はかなり主観的、環境的な要因が絡んでくると思います。

下記の項目は全てが全ての職場に当てはまるとは言いませんが、いくつかが当てはまってくるかと。

認知症の利用者さんの介護

認知症状は個人個人によって変ってくる部分がありますが、基本的に話が通じなくなります。
夜に20分おきにトイレに連れて行けとせがんだり、大声を出したり。
食事の介助をしても吐き出したり、介護士に唾をかけてきたり。
オムツの交換をするのに興奮して暴れまわったり、介護士に暴力を振るったり。
ウロウロと歩き回って転んで、現場の介護士がその責任を取らなければならなかったり。

家族への気遣い

「お金を払っているんだから」的な家族からのクレームの対応。
認知症の利用者さんなのに「うちの母はボケていませんから」と利用者さんの言うことを丸呑みしてこちらにクレーム。
人員が足りない現場で「何分待たせるんですか?」とクレーム。

職場の同僚関係

スタッフ同士で派閥を作っていて、悪口や陰口を言っている。
看護が医療的見地でマウントをとり、介護士を奴隷のように扱う。
上司やリーダーのパワハラがある。

事務方、施設運営側、との考え方の乖離

ケアマネージャーや相談員は現場を見に来ず、インシデント(転倒事故や服薬事故等)が発生すると頭ごなしで現場を否定。
(相談員やケアマネは家族への説明責任があるのでしょうがないと言えばしょうがないですが……)
「命の現場なんだよ!」と更にプレッシャーをかけてくる。
インシデントの対策で、現場ががんじがらめになっていく。
明らかに人員が足りないのにスタッフの補充をしない。

体力が必要

広い施設の場合、とにかく歩きます。西館の端っこから東館の端っこの利用者さんのナースコール対応のために歩いたり。
自分より重たい利用者さんのトランスをしたり。
夜勤中は認知症の利用者さんの鬼のナースコール対応したり。

心を持っていかれる

上記の要因が絡み合い、心を病んでしまいます。
大型連休はもちろん、年末年始もなにも関係なく勤務です。
連続で1週間なんてほぼ休めません。
責任感の強い人、出来る人ほど「この現場をなんとかしなきゃ」と抱え込み、結果体と心を壊します。

やりがいはあるの?

さあ、ここまで良いことなんてひとつも書いてきませんでした。
これが全ての介護現場で当てはまるとは思いませんが、ある意味では現実です。

「利用者さんの笑顔があれば頑張れる」とか「ありがとうって言われるのが誇り」とかよく言われていますが、僕はそんなものでは頑張れません。
基本的に老人が嫌いです笑。
「おじいちゃんおばあちゃんが好き」と言う人とは別の宇宙に住んでいると思っています。

やりがいは「人の数だけある」といえます

ミもフタもない言い方ですが、逆に言うと、誰でも何かしらのやりがいが持てると思います。
やることとしては、慣れてくると段々ルーティンになっていきます。
この時間は食堂へ誘導して、終わったら居室へ誘導して歯磨き、排泄ケア、その後ベッド臥床と、ある程度流れが決まっているので思考停止して作業としてやっていくことができます。
ただ、このルーティンに慣れると、そのルーティンが苦痛になってきます。
僕は「移動式ウォシュレットです」と病んだ時期がありました。

そのときには回避策として「オムツを真ん中に、まっすぐに当てる」ことをやりがいとしてこなしていました。

ルーティンを回避したくて「散歩に行きたい」という利用者さんに時間を作って散歩に出て感謝されたり。
立てる、歩ける、という利用者を見抜いてリハビリ運動のようなことをして達成感を得たり。
腰を痛めないように体を使うためにセミナーに行って、それを日々実践してバガボンドの武蔵みたいな気分になってみたり。
「同僚が楽を出来るように」と他の勤務帯の人の仕事をしてみたり、率先してナースコール対応したり。

僕は上記のようなことをやりがいとして仕事をしています。
もちろん、「利用者さんと話をする」というのをやりがいとしてやっている人もいます。

結局介護の仕事をするのはおすすめなの?

僕は正直、20代とかの若い方は他の仕事をしたほうが良いと思います笑。
「おじいちゃんおばあちゃんが好き」とか「お年寄りと話をしていると癒される」とか言う人がいますが、会社にもよりますが利用者さんとゆっくり話をする時間はまずないと思ってもらったほうが良いです。
特に介護職を始めたばかりの人は、上に書いたルーティンをいかに早く、完結度を高く終わらせることができるかということでいっぱいいっぱいになると思います。
というかあなたが癒されてどうするんだって話ですね笑。

例えば30~50歳とかで何かのきっかけで職を失ってしまって、どこにも採用されなくて「もう来月からどうやって生きていこう……」なんて時には介護は良いのかなと。
とりあえずギリギリ生活するくらいは稼げるはずです。

まとめ

介護業界の人手不足は深刻なので、ぶっちゃけ誰でも業界に入れます。
介護を3年続けて介護福祉士という国家資格を取得すれば、恐らく介護士として食いっぱぐれることはないと思います。
人生のセーフティネット的な資格取得のために、とりあえずやってみるというは良いかもしれません。

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Posted by たくろう