介護夜勤中にナースコールを減らす方法「攻めの排泄介助」
こんにちは、たくろうです。
介護職の皆様、夜勤お疲れ様です。
皆さん夜勤中、利用者さんのナースコールに消耗していませんか?
僕は正直消耗していました。
例えば「不穏になっている利用者さんの対応事態がすごく嫌」とかではないんです。
「トイレ介助めんどくさすぎ」ということでもないんです。
いやごめんなさい良いカッコしました。ある程度めんどくさいです。
何が嫌って「ナースコールで呼ばれる」ということが嫌なんです。
夜勤中、介助以外のコマゴマとした仕事をしているときに「ピィンポーンン」とかいうあの音で呼ばれるのが、もうストレスでしかない。
コールに出て話をしたところで、僕らが部屋へ行くまで鳴らし続けてくるというあのスタイル。
心が磨耗していきます。
介助をするのはいいんです。
介助はするから、ナースコールで呼びつけるのをやめてほしいんです。
本当に重大な何かが起きたときだけ呼んで欲しいんです。
とはいえボヤいたところで何も変わらない。
そんな時、ある手法にたどり着いたんです。
それは「攻めの排泄介助」という手法です。
この手法を使うことで、僕の体感的には3割くらいナースコールの負担感が減っているかなと感じています。
すいません、いきなり「体感的」とか「感じています」とかフワッとしたこと言い出しまして。
実際回数の統計とか取ってないんですけど、要はコールの負担感が減るかどうかの話なんです。
僕のように「介助自体はそこまで嫌じゃないけどナースコールが死ぬほど嫌い」という方は試してみてください。
攻めの排泄介助でどうしてナースコールが減るのか
夜勤帯のナースコールのほとんどは「トイレに行かせてください」「パットを替えてください」といった排泄関係の内容です。
つまり、利用者さんがコールを鳴らす前に排泄介助に入ってしまえば、少なくとも排泄関係ではコールが鳴らなくなるという理屈です。
攻めるために、まずは利用者さんの排泄サイクルを把握する
まず、コールを鳴らしてくる利用者さんは大体どのタイミング、何時くらいにコールを鳴らしてくるのかということを把握します。
そして、その少し手前の時間に要求を満たす介助をしておくということですね。
僕の勤務先の施設では夜間の巡視が3時間おきに設定されているので、そのタイミングでコールがなっていなくても排泄介助に入るようにしています。
Kさんへの攻めの排泄介助例
例えば、勤務先に認知症状のあるKさんという2~3時間おきにトイレ希望のコールを鳴らしてくる利用者さんがいらっしゃいます。
この方は大体、寝入り端の20時前後、22時、0時、(起きていれば)3時、朝5~6時といった時間帯にコールを鳴らします。
尿意があり、しかも浅眠で入室の気配でフッと目を開けることが多い方なので、20時、21時、23時、2時に「見回りに来ましたが、トイレは大丈夫ですか?」と声をかけるようにしています。
「夜中の2時にトイレなんて」と思われるかもしれませんが、何度か2時に見回りに行き「あ、寝息を立ててよく休まれているな」と思って退室したその10分後とかに「トイレ行きたいです」とコールが来ることが多かったので、もうある程度寝ていても声をかけることにしています。
このKさんの場合は、この対応で朝のモーニングケアの時間帯までほぼコールが鳴ることはないです。
たまにトイレへ誘導した1時間後とかに「トイレに行きたいです」とコールがくることはありますが「ほんのついさっき行ったばかりですよ。また1時間くらいしたら見回りにいきますから、その時までお体を休めていてください」みたいな感じで声掛けをすると納得してもらえます。
同僚の中にはKさんの対応として「夜は寝てもらいたいしコールを鳴らせる方だからナースコールが来たら介助に入る」と言っているスタッフもいます。
しかしKさんに任せてしまうと「今他の方で手を離せない」というタイミングでトイレ希望がくることがあるわけです。
それを説明しても一瞬は納得されるんですが、結局トイレに行きたいという欲求があるので僕らが部屋に行くまでコールを鳴らし続けることになります。
ぶっちゃけこの利用者さんの「スタッフが来るまでナースコール押し続けたろ」は心が磨り減ります。
下手に利用者さんのタイミングを待つより、心の余裕があるタイミングで対応に入ってしまったほうが利用者さんにとっても僕らにとっても良いと思うんですけどね。
Fさんへの攻めの排泄介助例
Fさんは半身麻痺があり車椅子での移動ですが、認知症状はなく年齢相応にクリア、バーに掴まっての立位~立位保持が可能な利用者さんです。
以前は23時に定時排泄ケアに入ることとなっており、ケアに入るのですが排尿がなかったりするんですね。
その後1時頃にパット交換依頼が入ったりするような状態でした。
そこで、23時に1回トイレに座ってみればいいじゃないかという攻めをしてみました。
最初は「今出ません」「今行きたくありません」等仰っていたんですが、なんとか説得してトイレに座ってもらったらしっかり排尿があったんですね。
しかもパット汚染なし。
しかもしかも、その後、朝のモーニングケアでのトイレ誘導時も失禁なし。
これ、毎回ですよ。すごくないですかFさん。
今までご本人は「トイレに行くのめんどくさいからパットにしちゃお」という精神で排尿していたということなんですね。
完膚なきまでにベロンベロンに眠たそうということであれば夜間のトイレ誘導にはリスクがありますが、Fさんは少し声を掛けるとスッと覚醒していただける方でした。
それなら、下手に0時回って起きだしてしまうよりは、日付が変わる前にしっかりトイレで排尿していただき、しっかりまとまって寝ていただいたほうが良いと僕は思います。
基本的に、夜は休んでいただく時間
当たり前ですが、夜は利用者さんに休んでいただく時間です。
夜寝ていただけなくて「昼夜逆転」状態になっては、利用者さんはもちろん僕らにとっても良いことはひとつもないです。
僕も「攻めの排泄介助じゃい!」とか言ってる不良介護士ですが、そこの良心は持ち合わせています。
なので、基本的には攻めのトイレ誘導をするのは0時を回る前までにしています。
それ以降でも攻めのトイレ介助やオムツ交換をするのは、Kさんのように起きてコールを鳴らしてくる方や、尿量が多くオムツ交換をしなければ衣類の汚染やスキントラブルに繋がるという利用者さんに限ります。
【補足】この排泄介助のリスクをフロアで共有してから実施してくださいね
皆様は聡明な方々なのでご理解されているとは存じますが、夜間、利用者さんの覚醒度の低い状態でのトイレ誘導はリスクがあります。
立ち上がりや立位保持のほか、トイレに座っていただいている間も傾眠されてしまって便座から崩れ落ちるなんてことも最悪ありえます。
僕はこの方法が1番利用者さんにとっても僕らにとってもメリットがあると考えていますし、上長にも相談して実施しています。
皆さんももし「攻めの排泄介助ええやん! やったろ!」と考えていただけたら、必ずフロアの上長やスタッフに相談してからスタートしてくださいね。
リスクや考え方の差異はあると思いますが、僕は「攻めの排泄介助」オススメします
「ナースコール鳴って欲しくない!」というクズのような動機で始めたこの「攻めの排泄介助」ですが、利用者さんにしっかり覚醒してもらえるなら0時前までにトイレに行ってもらって、スッキリして深夜帯を休んでもらうという考え方は悪くないと思うんです。
ナースコール待ちでは、利用者さんの都合に振り回されてしまいますし、利用者さんを待たせることになってしまいます。
結局お互いが疲弊すると思うんです。
攻めの排泄介助で全てのコールが消えるわけではありませんが、上で紹介した2名の利用者さんは確実にナースコールは少なくなりました。
この方法であれば、利用者さんをそこまで待たせることもないですし、こちらのタイミングで入れるので心に余裕を持ってケアができます。
結果、僕らのメンタルも消耗しないし、ケアの質も上がると思うんです。
もちろん賛否や、施設やスタッフとして合う合わないはあると思いますが、こういう考え方もあるんだなー程度でも疲弊した時の選択肢のひとつに加えていただければ幸いです。
なかなか夜勤は辛いですが、お互いにがんばっていきましょう!