BARこてっちゃんが2周年を迎えたので、初日の思い出を語ってみる
「BARこてっちゃん」2周年おめでとうございます!!
ワー! キャー! オメデトー! キャー! インムー! オメデトー!
ということでX(旧Twitter)のフォロワーこてっちゃんが営む「BARこてっちゃん」(公式Instagramはこちら)が2025年9月30日でオープン満2周年を迎えました。
飲食自体が未経験の状態でチャレンジし、経営をきちんと軌道に乗せ、たくさんの人に愛されるお店を作り上げたこてっちゃんには感服いたします。
御本人は厳しい方なので「いや、まだまだなんですよ(笑)」なんておっしゃるとは思いますが、僕からしたら天上人のような実績を叩き上げてますからね。
本当にすごい。
今日はそんなめでたい日ですので、こてっちゃんとの思い出話とともに、「BARこてっちゃん」がいかに素晴らしいかを語っていきたいと思います。
こてっちゃんとの邂逅

そもそも僕がこてっちゃんと初めて顔を合わせたのは2022年の8月。大阪のフォロワーさんが関東に遊びに来るという流れで、関東に住まうフォロワーさんで集まったオフ会でのことでした。
僕のこてっちゃんの第一印象は、まず「デカい」。
浅草での集合だったんですが、雷門ってあるじゃないですか。あの門の天井に頭ぶつけそうなくらいの高身長だったんですよ。どうやって電車乗ってきたんだろうってレベルでデカくて、ほんと見上げましたもん。思い出しましたもん。ヤツらに支配されていた恐怖を、鳥籠の中に囚われていた屈辱を。
そして次の印象が「立ち振舞がアサシン」。
オフ会ってことでとりあえず居酒屋に入ったんですけど、そこの居酒屋の椅子が背もたれ付きだったんですね。まあ普通、何の気なしに座ると背もたれにもたれかかるじゃないですか。よっこいしょと体重を預けるじゃないですか。でもこてっちゃんはもたれない。背もたれと自身との間に数センチの隙間を保持し、常に背筋が伸びてる。背中に刀とか隠し持ってるから強制的に背筋が伸びてんのかってレベルで姿勢がまっすぐなんですよ。
これはヤバいやつだと。一般人に紛れようとしても隠しきれない血の臭いがするなと。
事実、「アサシンみたいな振る舞いしてますやんww」ってイジッてたら、帰りの電車に乗ろうと駅のホームへの階段を下っているとき、こてっちゃんに背中を押されて階段を踏み外して足をグネりましたからね。ほんとね、「もう電車が来ちゃう、急げー」って感じで階段を下っていたら、いつの間にか僕の後ろにいて「とんっ」て感じで押されましたからね。驚いて振り返った僕の目には、ハイライトの消えた昏い瞳をしてうっすらと口角を上げたこてっちゃんが映ってましたからね。「人を壊すのに力はいらない。適切なタイミングで適切な事を成すだけだ」って言ってましたからね。
その結果、完全に足をやられて足首が1.5倍くらいに腫れて歩けなくなりました。
よほどアサシンイジりが気に障ったんですね。その節は大変申し訳ございませんでした。命だけはご容赦ください。
ともあれ僕の主観によるこてっちゃんは「デカいアサシン」でした。
フォロワーとの心温まるやりとりを経て、Barを開店
そんなデカいアサシンが、酒好きが高じてBarを開店すると聞いた時はシビれましたね。
アサシンとBarってなんかすごい相性いいじゃないですか。探偵と喫茶店くらいバチバチにマッチする要素じゃないですか。こんなの絶対ハンター試験みたいに「とある注文」をすると奥の部屋に招かれて、そこで「殺しの注文」ができるじゃないですか。
ヒューッ、かっこいい!
しかもこのBarのたったひとつのルールが「人の悪口を言わない」。これって絶対僕がアサシンイジりしてたことまだ許してないじゃないですか。絶対このイジりのこと悪口だと思って根に持ってるじゃないですか。ていうか現在進行系でイジッているわ。怖すぎる。すいませんでした。命だけは取らないで。できたら足をグネらせるのも勘弁して。
そんなアサ・・・こてっちゃんは、Barを開店するまでリアルタイムでX(旧Twitter)で報告をしていました。
バーテンダーになるための勉強や資格取得、お店の場所決め、内装が改装されていく様子。さらにBarのロゴはこてっちゃんのフォロワーさんによるデザイン公募で決められたんですよ。すごい。
そんなふうにBarが出来上がる様子が次々とツイートされていくのを見ていると、関係ない僕にも自然とお店に愛着が湧いてくるんですよね。すごいな、頑張っているな、Barのオープンが楽しみだな、と。
オープンが近づいてくると、自分のことのようにワクワクしたものです。

そんなBARこてっちゃんオープン間近のある日、プレオープンに参加したフォロワーさんから「オープン初日、手伝いに行ってあげてくれないか」とメッセージが届きます。
今までBarどころか飲食店の経験すらないこてっちゃんが一人きりでいきなり「さあやって!」となるんだから、本人も色々不安だろうと。なるほど、そりゃあそう。
こてっちゃんにも確認をすると「手伝ってくれるならありがたい」とのことなので、少しでも助けになるのならと手伝いに行くことに決めたんです。
ちなみにこれは秘密なんですけど、プレオープンに参加したフォロワーさんによると、ほぼ1対1の接客だったにも関わらず注文した餃子の皮ピザを焦がすというやらかしをしていたらしく「オープン当日は大丈夫なのか・・・?」と不安になったので手伝いを要請したらしいです。
この事の経緯をこてっちゃんに聞いてみたら「話すのに夢中になっちゃって」とのことでした。おしゃべりモンスターやないか。
ただまあ、僕も飲食店の経験なんてカラオケ屋のバイトでドリンク作ったことがある程度、こんなもん飲食店に含まれないだろってレベルのド素人ですし、そもそも他人と話をするのが苦手っていうBar適性ゼロのカス。こんな人間が行ったところでヘルプになるのかと思ったんですが、こてっちゃんが「たくろうさんがいるだけで安心しゅるぅんですぅ♥♥」っていうね、かわいらしいことを言うもんでね、そりゃあ手伝いますよと。
なにかと理由をつけて呼び出して暗殺するつもりなのかもしれないですけど、こんなこと言われたらそりゃあもう覚悟を決めますよ。グネらされた足も治りましたし。新たに体のどこかをグネらされる可能性も視野に入れて手伝いに行きますよ。どんとこいですよ。
BARこてっちゃん開店当日 Side:たくろう

そんなわけで2023年9月30日、めでたいBARこてっちゃんの開店当日。
僕は朝の4時半に起きました。
いや、BARこてっちゃんのヘルプに行くのに緊張しすぎて眠れなくてこんな野鳥みたいな時間に起きちゃったとかじゃなくてですね、普通に仕事だったんです。
当時は介護施設で働いてまして、この日は「早番」と呼ばれる呪われたシフトで、まあ呪われてないシフトなんて無いんですけど、早番は朝7時に出勤しなきゃいけないんですよ。朝7時ですよ、7時。並のサラリーマンなら起床する時間ですよ。
朝7時に出勤するためには死にたくなりながら4時半に起きて、とりあえずタバコ吸って、死にたくなりながら歩いて駅に向かって、死にたくなりながら6時くらいの電車に乗って、6時半くらいに職場の最寄り駅に着いて、死にたくなりながら歩いて、6時45分くらいに希死念慮と共に職場に着いて、死にたくなりながらタバコ吸って、それで7時に死にたくなりながら出勤となるわけですよ。まじで死にたくなるんですよ。まあどのシフトでも死にたくなるんですけど。
そんで老人の体をちぎっては投げちぎっては投げって感じで風呂場で老人の体を洗い散らかす仕事をしてですね、16時に退勤となるわけです。
当時の職場からBARこてっちゃんまでは電車を乗り継いで約2時間。
BARこてっちゃんがオープンする18時に間に合わせるにはギリギリとなり、時間のロスは許されないわけです。そりゃあもう急ぎましたね。脱兎の如く職場を逃げ出し、さながらメロスのように走りましたよ。邪智暴虐の職場が許せないとか思いながら走りました。途中で5回くらい「なんで横須賀くんだりのクソ田舎にBarなんてオープンしやがったんだ」とか思いながら走りました。もっとアクセスのいい場所でやれよと。片道2時間とか気合い入れたら秋田くらいまで行けるんじゃねえかと。え? これ悪口になります? すいませんでした。
まあただね、このときは楽観的だったんですよ。
こてっちゃんも「オープン当日ぅなんでぇ、そんなにぃお客さんはぁこないと思うんですぅ♥」みたいなこと言ってましたし。「だからぁ、お客さんがいなかったらぁ早めに店じまいしちゃってぇ・・・ね?♥♥」みたいなこと言ってましたし。早めに店じまいしてなんなんだ、また僕をグネらせるつもりなんだろうみたいなこと言ってましたし。
言うてそこまで忙しくならないんだろうなと思っていたんです。
そんなことを考えながら3回くらい電車を乗り継ぎ、爆走に次ぐ爆走をして見事18時前に到着ですよ。セリヌンティウスの待つBARこてっちゃんに息も絶え絶えになりながら到着ですよ。オープン前に着いたとはいえギリギリになっちゃったからな、不安がってるだろうなと思いながら「間に合ったよ! お待たせ!」って感じでBarに入ったら、セリヌンティウスが「なんだこいつ?」みたいな顔してましたわ。「店の外に18時からオープンってボードを立ててるのになに入って来てるのこいつ。初日からキチガイ来よったわ」みたいな顔してましたわ。
なにか、足をグネらせた相手の顔も忘れたのかと。過去にグネらせたヤツの顔など覚えてられるかってことなのかと。今まで食べたパンの枚数の話するんかと。
これは悲しかったですね。驚きと悲しみで足がグネるかと思ったわ。

そんな悲しいエピソードを乗り越えていざオープンと相成ったんですが、いやあすごいですね。客足がほとんど途切れないんですよ。
こてっちゃんのX(旧Twitter)のフォロワーさん、友だち、先輩後輩、通りすがりに開店準備しているのを見ていて楽しみにしていたという地元の人たち。
これらの方々がもう入れ代わり立ち代わりばっこんばっこんいらっしゃるんですわ。満席になって入店をお断りせざるをえないこともありましたからね。誰だよオープン当日だからそんなにお客さんはこないとか言ってたやつ。めちゃくちゃ大盛況じゃねえか。
そんな横須賀で人気ナンバーワンのBarで僕に与えられた任務は洗い物とお通しの提供。ひたすら洗い、お客さんが来たらお通しを盛り付け提供、そしてまたひたすら洗うというもの。
洗い物のなかで、グラスに関してはBarなのでやはりこだわりがあるらしく、水滴の拭き取りはこてっちゃん自らがやりますと。なので僕はひたすら洗って重ねていたんですが、水切り台の上に乗らないくらいグラスが溜まってるのにドリンクとかの提供が忙しくてなかなか拭いてくれないんですよ。
忙しいのはわかります。それはそう。でもね、水切り台にも限りがあるわけ。ていうか水切り台自体も若干小さめなの。グラス以外は僕も拭き取りの許可をいただいていたので皿なんかはスイスイ片付けられるんですけど、グラスだけがマジで全然減っていかない。もう洗ったグラスを置く場所がない。手伝いに来たっていうかテトリスしにきたんじゃねえかってレベルでなんとか積み重ねてたりしたんですけど、もう水切り台が悲鳴を上げてるわけですよ。「んぎぃいっ♥もうらめえぇっ♥」みたいな感じになってるんです。
なのでもうシレッとグラスも拭いてました。なんか多分水滴を残さない拭き方みたいなのがあるんでしょうけど、知ったこっちゃないわけ。もう水切り台がパンパンなの。もう挿入らないの。とりあえずキレイに拭けばええんやろ。
あとは途中からこてっちゃんがお客さんから注文を受けたらそれを伝票に書くっていう作業も加わったんですが、あのね、こっちはあなたほど酒に詳しくないわけ。お客さんとなんか暗号みたいなやりとりしたかと思ったらスッと酒作り出すもんだから伝票に書けないんですよ。「今の注文なに?」って聞こうにもお客さんとご歓談中なもんだから、もう俯いて「なんかウィスキーベースのやつ」みたいな、バカが書いた伝票みたいな文言を書くしかないわけ。誰も得しないBarのメニュークイズ受けさせられてるみたいになってましたもん。正解が全然わかんねえよ。あんなもん暗殺依頼の暗号だったとしても気づかないわ。ていうか絶対記入漏れあったわこれ。
そんな感じでですね、失敗がありながらも結構一生懸命働いていたんですよ。
お客さんが帰ればテーブルを拭き、隙があればトイレ掃除をして、更に隙を見て裏口を出て煙草を吸い、頑張って働いていたんです。
途中、こてっちゃんが無意識にアサシンの力を開放してしまいお客さんが使っているグラスの底を抜かしたり、血に飢えすぎて包丁で自らの指を切って流血したりという、営業初日の数時間でそんなにたくさんイベントある? っていうレベルで色々なことが起こりました。あとやっぱり餃子の皮ピザを焦がしてました。
野鳥みたいな時間に起きて朝の7時から16時まで働き、そのあと急いで片田舎横須賀まで行って、18時から0時頃の営業終了まで、メシを食う暇もなく煙草休憩のみで頑張ったんです。
なんか洗い場が絶妙な高さで、人体に一番負担がかかる高さを追求したらこうなりましたみたいなところで洗い物してたもんだから腰が痛くなって「今更どうしようもないかもだけどこのシンクの高さってどうにかならないのかね」って聞いたら「ああ、Barはこういうものなんです。基本的に洗い場が低いから、その位置に合わせて立つ『バーテンダー立ち』といわれる腰に負担の少ない立ち方があるんです」とか営業終了後に言われて「ああ、今度は僕の腰をグネらせようとしてたんだな」と思ったりもしました。「バーテンダー立ちといわれるものがあるんです(笑)」じゃないんですよ。最初に言ってくれよそれを。でもまあその「バーテンダー立ち」って足を広げて腰の高さを落とすって立ち方なんですけど、やってみようとしたら足元にめちゃくちゃモノが多くて全然実践できない環境でした。やっぱりこの人僕の腰をグネらせようとしてたんだな。

そして営業終了後、こてっちゃんはカウンター内の掃除を、僕はフロアの掃除機掛け・モップ掛け・トイレ掃除をして、ようやっと労働終了ですよ。
頑張った。僕達ふたり、力を合わせて初日を乗り切った。
たくろうさん、無き者にされる
でね、皆さん、聞いて下さい。
ここにひとつ、素敵なインタビュー記事があります。
「BAR こてっちゃん」で心の荷物を下ろしませんか?オープンに至った想いが素敵すぎた
これはWebライターでありWebクリエイターでもあるひまりさんによる、「BARこてっちゃん」店主、こてっちゃんへのインタビュー記事。
こてっちゃんの半生や人となり、Barの開店の経緯からその展望までをまとめた非常に素敵なものです。
この素敵な記事の中にですね、「アクシデント続出の初日」という見出しがありまして、そこではこの2023年9月30日のBARこてっちゃん初営業日にどんなことがあったかということが、こてっちゃん視点で語られているんです。
――初日はアクシデントが続出したのですか。
初日はほぼ満席の状態で、とにかく提供しなければと焦っていました。包丁で指を切ってしまい、痛みは感じなかったものの、バンドエイドも救急道具もなく……。知り合いのお客様が心配してくださり、部活の後輩からバンドエイドを貰って助かりました(苦笑)。
そうそう。
客足が途切れず、ビギナーバーテンダーと素人でてんやわんやだったよね。
血を止めないと仕事ができないけど、アサシンとしては血を出させるのには慣れていても止める方は慣れてないし、Barには応急処置できるものがなくてコンビニに買いに行くしかねえかってときに「バンドエイドありますよ」って言ってくれた人がいて助かったよね。
――痛そうですね……。他にも何かあったのですか。
お客様にハイボールを提供した際、急にグラスの底が抜けてしまいました。冷やしすぎて割れたのか、一気に氷で冷えたのか原因は不明ですが、呆然としてしまいました。
そうそう。
一人で来たお客さんの1杯目の注文で、口をつけたかつけないかくらいでズルンとグラスの底が抜けたんだよね。周りのお客さんもびっくりして、みんなおしぼりをその人に貸してくれて優しい人達にかこまれて嬉しかったよね。
・・・で、ここで終わってるんですよ。
ここで次の見出し「旅から生まれたレシピ」になってるんですよ。もう次の話題に移ってるんです。「旅行が好きで、旅先で見つけた料理やお酒をメニューに取り入れたりしているんですー」なんていうお話がにこやかに繰り広げられているんですよ。
いやいや待ってくれと。まだあるでしょ、語るべき営業初日のエピソードが。
「実はTwitterで知り合ったフォロワーさんが手伝いに来てくれてー」ってエピソードがあるでしょ。「大変だったけど、二人で頑張ったんですよ」って話が。あるでしょ。なんならその日最後に来たお客さんとドラクエとかFFとかの話をして、そのお客さんが後日来店したときに「今日はマスターだけなの? あの人いないの?」って言ってたって話も。あるでしょ。ねえ。
おかしいんですよ。僕が手伝ったというエピソードが微塵も語られてないんです。
完全に存在を消されてる。無かったことにされてる。
「たくろう? 誰ですかそれ(笑)」みたいになってる。無き者にされてるんですよ。
業務のすべてが終わった25時、二人でカウンターに座って、一緒に飲んだハイボール。
慣れない、というかほとんど初めての業務の数々。営業時間中ほとんど客足が途切れず、グラスの底は抜け、流血し、餃子の皮ピザは焦げ、僕の腰はグネり。本当にいろいろなことが起こったけど、なんとか初日が終わった。
その心地よい疲労感が、ハイボールでじんわり溶けていく。
このハイボールの旨かったこと。
まあ僕の場合労働時間で考えると13時間。拘束時間で考えると20時間だったんで心地よいを通り越して召されそうなレベルの疲労感だったんですけど、とにかくこのときのハイボールはめちゃくちゃ旨かった。
疲れたね、大変だったね、ありがとうね、旨いね。二人でそんなことを話しながら、素敵なお酒を酌み交わしたんです。
この思い出のハイボールも無きものにされてるってことなんですよ。
これは恐ろしいですよ。恐ろしい話ですよ。
足をグネらせるだとか腰をグネらせるだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてない。命よりももっと残酷で恐ろしいものを取りにきてるんです。
いいですか皆さん、このアサシン、アサシンイジりをした報復として、僕という存在そのものを消しにかかってきているんです。
人間の本当の死は、人々の記憶から忘れ去られたときに訪れるといいます。
こてっちゃんは、肉体を滅ぼすよりも先に人々の記憶から僕という存在を消し、生きながら死を味わえと。「そういうこと! ふにゅ!」と言っているんです。

事実、「BARこてっちゃん」でGoogle検索をすると、「BARこてっちゃんのInstagram」「こてっちゃんのブログ」の次に「ひまりさんによるインタビュー記事」がヒットしますからね。
この検索上位のなかでは僕が初日に手伝っていたということが消し去られていますからね。
Google検索上位3つのなかに入ってないってことはそれはもう存在しないと同義ですよ。
本当に、僕はなんて男を敵に回してしまったんだろう。
初めてでも話がしやすい「BARこてっちゃん」
とまあそんな冗談(笑)は置いておいて、一緒に働いてみて思ったのは、こてっちゃんはすごいなあということです。
こてっちゃんはとにかくお客さんと会話をしていくんですよ。お酒やフードの話だったりゲームの話だったり、とにかくお客さんに話しかけていく。
僕が初めてこてっちゃんと会話をしたのはオンライン飲み会だったんですが、当時は「あんまり喋らない人」という印象だったんです。話題が振られればもちろん話をするんですが、自分から積極的には会話に入ってこない人、という感じで、ただただそこに存在するアサシンのような(あっ、当時から気配を纏っていたのか!)人物像でした。なので、Barを始めると聞いたときは正直「こんなに話をしない人がBarなんかできるものなのかなあ」と思ったものです。
そんな人が実際開店となればもうコレ、ガッツンガッツンに話をしていく。
まあ自分の店で自分のお客さんですからね、そりゃあトークにも気合が入るってのはわかるんですけど、それにしてもグイグイ話をしていくなあ、すごいなあ、こりゃあ餃子の皮ピザも焦がしますわいと思ったものです。完全におしゃべりモンスターと化してました。
本人もガリガリに話をするんですが、実はBARこてっちゃんの店内にもさまざまな会話のフックが仕掛けられています。
メニューにはフードやドリンクごとにエピソードが書かれていたり、店内のBGMはアレンジされたゲーム音楽が使われたり。
実際、お客さんの「あれ、このBGMってあのゲーム音楽のアレンジですよね」という一言から会話が膨らんでいくということがありましたからね。
エピソードが書かれたメニューも、これを読んで気になったお酒についてさらに詳しく話を聞くということもしやすい。
こてっちゃん自身も話しやすい雰囲気ということもありますが、初めてのお客さんでも会話がしやすいように、いろいろな工夫がされているんだなあと。
こんなBarをつくったこてっちゃんはすごいなあ。
「BARこてっちゃん」には、魔法がかけられている
こてっちゃんはこのBarを「人とのつながりを大切にしたい」「学生さんでも気軽に来ることができるBarにしたい」「心の荷物を下ろせる場所にしたい」と言っていました。
こてっちゃん本人が精神的に辛いときTwitterのフォロワーさんが何度も話を聞いてくれたこと、Twitterでのやりとりを経て「BARこてっちゃん」オープンにつながったことなど、人とのつながりによって救われた経験があるそうです。
だから、今度は自分がつらい思いをしている人に寄り添いたい、人とのつながりで救われることがあると伝えたい。
自分が学生の頃お金がなく、Barに行きたかったけれど敷居が高かった。
だから「BARこてっちゃん」は学生さんでも来れる価格設定にして、気軽にBarを楽しんでほしい。そしてもし悩んでいることがあるのなら、「BARこてっちゃん」で吐き出してほしい。
誰かに話すだけで心が軽くなることがある。「そこ」に行くだけで安心できるような場所でありたい。
「BARこてっちゃん」には、そんな想いが込められているんですね。

「BARこてっちゃん」には、魔法がかけられているそうです。
それは自分の心のうちを遠慮せず、正直に話したときにかかる魔法だそうです。
そしてその魔法の効果は、少しだけ心が軽くなる、抱えている心の荷物を少しだけ下ろせる。そんな魔法なんだと思います。
この魔法はきっと、こてっちゃんだからこそ使える魔法なんでしょう。
だって僕は存在を消されかけたから。
足をグネらされたあげく、腰をグネらされたあげく、命どころか存在そのものですよ。2025年9月30日にBARこてっちゃんの手伝いをしていたという事実そのものを消し去られるところでしたよ。危険すぎるだろ。なんなんだその魔法。ザキどころの話じゃない、メドローアレベルの魔法じゃねえか。
こんな魔法が使えるなんてアサシン適性高すぎだろ。
こんな存在そのものを消し去る極大魔法が使えるこてっちゃんなら、心の荷物を消すのなんかわけないはずですよ。
本人は謙遜して「心の荷物を下ろす」なんて言ってますけど、下ろすどころの話じゃない。下ろそうと思ったらもうないもん。消えてんだもん。存在自体がなくなっちゃってんだもん。
でも気をつけてくださいね。『悪口を言わない』ってルールを破ったら僕みたいに存在を消されかねないですからね。心の荷物どころか心そのものを消されて、ハイライトの消えた瞳でBarを後にすることになりかねないですからね。「お代はいただいてますよ。あなたの心をね」とか言われますよ。下手したらハンター試験のときのジョネスみたいになりますからね。危ないですよ。こてっちゃんもキルアと同じ暗殺者ですからね。ルールは守ってくださいよ。
「ターゲットの存在を消す」というアサシンとしての超一流の能力を、「悩める人の心の重荷を消す」という世のため人のための能力へと転化したこてっちゃん。
みなさんもぜひ、会話とお酒を楽しみにBARこてっちゃんに足を運んでみてください。
お店を出るときにはきっと、心が軽くなっているはずです。
もう一回言っておきますけど、ルールは守ってくださいね。
P.S こてっちゃんへ
いい感じのことを書いたので、命までは、存在までは勘弁していただけませんか。
体のどこかがグネる程度であれば、甘んじて受け入れます。
ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
