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はたして僕は酒癖が悪いのか

 酒癖が悪いっていうのはどういうことなんでしょうね。

 というのは、ウチの近所にカラオケスナックがあるんですけど、なんかちょっと店構えのクセが強いんですよ。
 防音のためか店内の様子を伺えるような窓がなくて、2階建ての民家みたいなっていうか多分2階に住んでるんだろうなっていう家屋で、入口がなんとも威圧感を醸し出す小さなドア。まあスナックなんでね、建物の造りはそういうもんだろうなって感じなんですけど、その小さなドアの周りに張り紙というか看板というか、注意書きのステッカーみたいなのが結構な密度で張ってあるんですよ。
「入口はこちら」とか「Welcome」「お気軽にどうぞ」「喫煙可」みたいな一般的なやつもあるんですけど、「暴力団お断り」「警察官立ち寄り所」「防犯カメラ作動中」みたいな、一体この店で何があったのって考えたくなるようなものもあるんです。全然お気軽にどうぞじゃねえよってレベルで物々しい。
 謎に「うなぎ」ってノボリが5本くらい立ってるし。気になりすぎてGoogleマップのクチコミを見てみたらなんか熊本県から取り寄せたうな重が美味いらしい。なんなの。うな重が美味いスナックってどういうことなの。酒のんでカラオケしながらうな重食わねえだろ。気になりすぎる。
 そんな情報化社会に対する風刺みたいな情報過多の店構えなんですけど、その張り紙の中に「酒癖の悪い方お断り」ってのがあったんです。

 最初通りかかったときは「ああ、まあ酔っ払って他の客に絡むとか、店の備品壊されるとかされるとダルいもんね。分かるわ」ってな具合にあまり気にしてなかったんですけど、後々考えてみたらよくわからねえなと。

 だって酒癖が悪いヤツって、多分自分が酒癖が悪いって自覚してないじゃないですか。
酒癖が悪いヤツは「俺ァ酒癖悪くなんてねぇぞおぃぃいえああぁ!! ウィィイイィイ!」みたいな感じで、そんな張り紙なんて気にせず入店してくるじゃないですか。むしろその張り紙を見たからこそ「酒癖が悪いヤツを断るなんて客商売が分かってねえなあ! 説教してやらねえとなあ!」みたいなノリで入ってきそうじゃないですか。東京卍リベンジャーズみたいなノリで来そうじゃないですか。

 逆に「あ、この店は酒癖が悪い人はお断りなんだ。じゃあ僕は酒癖が悪いから入れないな」って考えるような人って、多分酒癖悪くないじゃないですか。ただの善良な人じゃないですか。
 そりゃあそんな人でも酒を飲むと人が変わったかのように暴れ散らかしグラスを割ってマイクを壊し、セクハラパワハラ嘔吐に寝落ち、店内に置いてある観葉植物に放尿するなどとモンスターのように悪逆非道の限りを尽くすということがあるかもしれませんが、それはもうお前は酒を飲むなって話じゃないですか。「僕は酒癖が悪いからお酒はちょっとだけ」じゃなくてお前は絶対に飲むな。みりんも禁止。うなぎだけ食って帰れって話じゃないですか。

 そう考えると「酒癖の悪い方お断り」って張り紙は意味がないと思ったんですよ。
酒癖の悪いヤツには呼び水となり、善良な人は「僕は酒癖が悪いかもしれない」と足が遠のく。張ってある意味がわからない。意味がないどころか悪手ですらあるんじゃないかなと。

 そんなことを考えていたんですけど、ふと「自分は酒癖が悪いのか?」と気になったんです。ほら、僕って善良な人間なんで「僕は酒癖が悪いのカナ? このお店は入れないのカナ?」と考えてしまったんです。善良な人間なんで。

 というかまず酒癖が悪いって何? って話なんですよ。
 酒飲みを表す言葉で「笑い上戸」とかあるじゃないですか。「泣き上戸」とか「絡み酒」とか。この言葉でいうと「笑い上戸」以外ダルいなというのはわかります。
「笑い上戸」は「この人酒飲むとよく笑うなー」ってくらいで、別に大して悪いことないじゃないですか。自分が話をして相手に笑ってもらえるって、なんなら嬉しいすらあるじゃないですか。
 でも「泣き上戸」とか、一緒に楽しく酒を飲んでたら突然号泣慟哭されたらたまったもんじゃない。急に店外に出たから何事かと追いかけてみたら雨に打たれながら天を仰ぎ「空が泣いてる・・・。私の代わりに泣いてくれてるんだ」とか言ってたらたまったもんじゃないじゃないですか。まあちょっと面白いですけど。それでも店内に連れ戻すのに手間が掛かりそうだし、その後ビッチョビチョの状態で酒を飲まなきゃいけないのもダルいじゃないですか。いや、これもちょっと面白いわ。その状態で熱燗とか頼んでたらお前寒くなってんじゃねえかってフフってなるわ。
 で、「絡み酒」ってのはもう明確にダルいですよね。
 一緒に楽しく酒を飲もうってのに、自分の話しかしない、嫌がっている相手にしつこく絡む、グズグズグズグズ説教する。これはもう明らかにたまったもんじゃない。明確に嫌。
 もうなんならこいつら「泣き上戸」と「絡み酒」で対決させてやりたい。泣き上戸が良かれと思って唐揚げ全体にレモンを絞り、絡み酒がそれを見咎め説教し、泣き上戸は泣きながら謝り続ける。2時間の飲み放題タイムが終わっても酒を追加注文しつつエンドレスに説教&号泣。それを僕達は別のテーブルから眺めつつ、絡み酒が音を上げるのが早いか、泣き上戸がキレるのが早いかをツマミに酒を飲む。そういう対決をさせてやりたい。まあ僕らが飽きて帰るのが一番早いと思うんですけど。

 脱線しましたが、「酒癖が悪い」ってのは、要は他人に迷惑をかけるかどうかってことなんですよね。すげー当たり前の結論なんですけど、まあそういうことになるわけですよ。
 酒を飲んで笑おうが泣こうが喚こうが、他人に迷惑を掛けず、友達に「またこいつと飲みたい」と思ってもらえるかどうか。飲みに誘ってもらえるかどうかということになると思うんです。

 で、じゃあ本題の「僕は酒癖が悪いのかどうか」ってことなんですが、基本的には僕は人畜無害だと思うんですよ。自分自身のことで、更に酒に酔っている状態のことなので判断が難しくはあるんですが、善良な人間として酒を嗜んでいるんじゃないかと。
 笑い上戸ではないと思うので、人の話でそんなにめちゃくちゃ笑うかというとそんなことはなさそうではあるんですが、まあ普通に楽しく飲みますし、酒を飲んで人前で泣くなんてしたことはないはず。一人で酒飲みながら映画見て泣くとかはたまにありますけど。おっさんが一人で酒飲みながら「けいおん!!」を観て号泣っていう地獄みたいな状況になったことはありますけど、まあ一人だしね。誰に迷惑をかけているわけでもないからね。ギリギリではあるけどね。存在が迷惑説も浮上するレベルでギリギリではあるけどね。
 絡み酒のように他人に絡むなんてそんなコミュ強じみた行動なんてできるはずもないですし、一緒に飲んでてもむしろ喋らない方だと思うんですよ。「たくろうさん喋んないの?」とか言われるレベルで喋らないっすからね。
 強いて言えば、酒のんでカラオケに行ったときに歌いながらカラオケの画面を撫でたりするくらいですよ。「お前も飲んでるか?」って感じで、カラオケの画面をポンポンとするくらいです。まあこれがセクハラに当たると言われたらそうかもしれませんが、カラオケの画面をポンポンしたことをセクハラと言うのであれば、むしろお前のその思考回路のほうがセクハラだろってなもんです。

 だから僕の酒癖は特段悪いものではないとは思うんですよ。
 そのクセの強いスナックに行っても「あんた酒癖悪いね! 出直しな!」なんてことを言われることはないはず。大丈夫、楽しく飲めるはず。
 良かった。僕は大丈夫。僕は酒癖悪くない。はず。

 ただ気になるのは、飲み会の誘いがほぼ僕からなんですよね。
 プライベートでも会社のでも、誰かから飲みに誘われたことがほぼないんですよね。

 あれ? 僕酒癖悪いの?
 だから誰も誘ってくれないの?

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日記

Posted by たくろう