ワカコ酒に学ぶひとり酒の楽しさ
こんにちは、たくろうです。
コミックゼノンに連載中のワカコ酒。
主人公の26歳OLワカコが、日々の癒しを求めてひたすら酒場をめぐるというそれだけの漫画。
「今日はこんなことがあったからこれを食べよう」
「今日はこんな気分だからこのお酒を飲もう」
といったように、飲み屋自体というよりは「ツマミ」や「酒そのもの」に重点が置かれています。
酒そのものとは言っても銘柄が出てくるいうことではなく「今日は熱燗だな!」とか、「麦焼酎の水割りでほっとしたい」というような話です。
1話大体4~5ページなのでサクサク読めます。
僕はこのワカコ酒がなかなか好きでして、酒を飲みながら読んだりしています。
酒を飲む前に読んでも気分が高まりわりと良いです。
あれですよ、スーパーに行って惣菜コーナーを回っているとなんかお酒飲みたくなるじゃないですか。
「おっ、アジフライ。いいねえ。ビールかな」
とかなるじゃないですか。え? ならない? そんなことないよ。なるよ!
つまり言ってみればワカコ酒=スーパーの惣菜コーナーという説が成り立つかと。
今回はそんな惣菜コーナーのようなワカコ酒を読んで、酒の飲み方を考えたいと思います。
僕もそうなんですけど、仲間数人とかで飲みに行くと、もう酒の味とかツマミの味とかあんまり気にしなくないですか?
もちろん「これ食べよう」とか「これおいしいね」なんて話はするんですけど、なんかこう、本気で向き合わなくないですか?
まあ仲間と飲みに行くって時点で主体は酒ではなく仲間と話すことなのでしょうがない部分ではあるんですが、ワカコ酒を読むことによってまた別の角度の「酒を楽しむ」というものが見えてくるんです。
ひとり酒は楽しい。
ワカコ酒では、そう思わせてくれるいくつかの要素があります。
酒とつまみの相性を考える
「このツマミに合う酒」というのは、王道にしろそれ以外にしろ確実に存在しています。
- 赤ワインに牛肉
- ビールに揚げ物
- 日本酒に刺身
- ウィスキーにナッツやチョコ
このへんはもう、王道中の王道ですよね。誰もが知っているすらある。
しかし、必ずこれを選ばなければならないということでは当然ないわけです。
「外が暑くて、ビールを注文したはいいけど揚げ物系はちょっとだなあ。何が合うかなあ……」
と、今の気分と酒との相性を考えつつ、限られたメニューの中で思考する。
これはやはり酒を飲み始めるにあたり、すごく楽しい時間です。
大人数で飲みにいってしまうとなし崩し的にビールになり、他の人がベロベロっと頼んだ唐揚げに落ち着くところ。
ワカコはひとりで飲みに行っているので、ゆっくりとこの楽しい時間を堪能しています。
つまみを観察する
酒とつまみの相性、自分の気分や店のオススメなどを吟味し決めたつまみ。
そのつまみが提供された瞬間は思わずニンマリしてしまいます。
しかし、ワカコは「わーキターいただきまーす」とすぐにベロンと食べません。
まず舐めるようにつまみを観察します。
形状はどうなのか。
熱そうなのか冷たそうなのか。
食感はどんな感じだろうか。
調味料はどれをつけて食べようか。
いやむしろ最初は何もつけずに食べてみようか。
そんなことを考えながらジワジワと酒を飲みます。
自分の中でのツマミに対する期待感を高め、空腹を楽しみます。
そしてボルテージが最高潮になったところで、初めてツマミに箸をつけます。
もはやエンターテイメント。ひとりエンターテイメントです。
このようにゆっくりと「ツマミを見て楽しむ」ことができるのも、ひとり飲みの良いところです。
自己と対話する
そしていよいよツマミを食べます。
酒で潤った口の中で、ツマミがどのように作用するのか。
食感を楽しみ、温度を楽しみ、香りを楽しみ、味を楽しむ。
そして酒を飲み、相乗効果を楽しむ。
こうしてワカコのようにゆっくりと食べて飲むということは、なんというか、酒に対して真摯に向き合っている感があって良いんですよね。
ツマミと酒を愛しむというか。
そうして「美味しいなあ」「幸せだなあ」と感じることはかなりのストレス解消になると思うんです。
ストレス解消にお酒はNGというのはよく聞きますが、適量でゆっくりと、自己と対話しながら飲む分には全然良いと思うんですけどね。
ひとり酒とは瞑想である
呼吸法とかのガッチガチに定義された瞑想かと言われると違うんでしょうけど、「今ここに意識を向ける」という意味では、もはやひとり酒は瞑想と言えると思います。
なじみの店だとか、常連客と顔なじみとかだとちょっと違ってきますが、基本的にひとり酒ってひとりなんですよね。
席に座って、何を飲もう何を食べようと悩み、酒を飲み、ツマミを食べる。
これらが全てひとりなので、必然的に自分との対話、自分の感覚との対話になってくるんです。
酒を口に入れてどう感じているのか。
ツマミを口にいれてどう感じているのか。
それらを感じるということは、まぎれもなく「今ここに意識を向ける」という行為にほかなりません。
もちろん小説を読んだり、スマホをしながらひとり酒というのも楽しいことに間違いはないです。
しかし、最初の1杯目だけでもワカコのように自分と対話をしながら酒を飲むというのも、なかなかにオツなものだと思うのです。
ひとり酒の楽しみ方として、自分と深く対話する。
そんな楽しみ方もあると「ワカコ酒」は教えてくれました。