スクラビングバブル許さん
何事に対してもモチベーションってあると思うんです。
仕事をするにしたって、給料というモチベーションがありますよね。金が貰えないなら仕事なんてやらないじゃないですか。「人は感謝を食べて生きる」とか「やりがいのある仕事ができて幸せ」みたいなおべんちゃらを言う人はいますけど、仕事のモチベーションは間違いなく金。給料です。介護でも「入居者の役に立てるのが幸せ」みたいなことを言う狂人がいますけど、まったく理解できない。老人の尻を拭くのにモチベーションなんてあるわけがない。「綺麗に拭けたぞ!」って喜べってか。何が嬉しいんだそれ。
ただ、給料というのは仕事の結果、成果であって、確かに仕事をしている最中にもモチベーションがあってほしい。そういう意味では「目的は給料であるけれども、目的に至るまでのモチベーションとして人に感謝されたい」とか「やりがいのある業務」「自分のスキルアップに繋がる業務をやりたい」というものは確かにあると思います。老人の尻を拭くのにやりがいも何もないけど、まあ確かにこなれてくると尻を拭く速度があがります。スキルアップに繋がります。尻を拭くスキルが上がって嬉しいかどうかは別として。
料理にしたって「美味しいものを作る」という目的に向かって作業をするわけですけど、やはりその作業自体にもモチベーションがあると嬉しい。
僕の場合のそれは酒を飲むこと。正直料理自体は好きでも嫌いでもないんですが、酒を飲みながら作るとまあまあ楽しみながら作業ができるんですよ。アルコールの力で余計なことを考えなくなり、さらに手順を組み立てて実行していくという作業である種ゾーンのような状況に突入できる。
さらに出来上がった料理、成果物をアテに酒が飲める。最高、というわけです。
正直酒を飲まないんならメシなんて別になんでもいい。
昔は家で酒を飲まなかったんですけど、その頃の晩メシ、サイコロステーキ5粒でしたからね。安売りの整形肉のサイコロステーキ買ってきて、毎日5粒だけ取り出して焼いて白米食ってましたからね。エサですよこんなもん。モチベーションがなければこんなもんですよ。
掃除も「家を綺麗にする」という目的をもって取り組むわけですが、やはりこの作業中にもモチベーションが欲しい。
「運動」としてフローリングの雑巾がけをすることで掃除とダイエットの一挙両得するのもモチベーションだし、ぐんぐん汚れが取れる洗剤を使えば「しゅごっ♥♥どんどん汚れが取れちゃぅぅっ♥♥♥むぉおっ♥♥」となってモチベーションも爆アガりってなもんですよ。
何事に対してもやっぱりモチベーションはほしいわけなんですよ。
でね、この間、風呂掃除しようとしたんですよ。
こう書くと普段全然風呂掃除しないヤバいやつみたいな感じになるんですけど、一応まあそんなこともないんですけど、風呂掃除しようとしたんですよ。
そしたら洗剤が少なくなってたんで洗剤を買いに行くところから始めなきゃいけなくて面倒くせえなあと思いつつしょうがないんで買いに行ったんです。この時点でもうモチベーションゼロですよ。面倒くささ100ですよ。
しかも買い物に行ったら行ったで普段使ってる洗剤が微妙に高くてですね、まあ別に10円そこらなんでいいっちゃいいんですけどなんか悔しいじゃないですか。
だもんで、どうすっかなーって洗剤の棚を見てたら、使ったことのない洗剤が特価で安くなってたんですよ。一応この洗剤もなんかわけのわからないプライベートブランドの商品みたいなやつではなくまあまあ聞いたことのあるブランドだったんで、元値は普段使ってる洗剤と同じくらいだし特価だしこれでいいかってなことで買って帰ったんです。
そんで早速風呂掃除ですよ、風呂掃除。
初めて使うけどこの洗剤はどんなもんかなーと思いながら使ってみたんですけど、最初は違和感だったんです。あれ? こんなもんだっけ? くらいだったんですけど、使っていくうちに確信に変わりましてですね、あの、明らかに泡立たないんですよ。
愛用してた洗剤と同じくらいの量を使ってるんですけど、全然泡立たない。
なんか「泡立ちは悪いけど体にイイですよ! 無添加! 健康! 自然派!」みたいな石鹸とかあるじゃないですか。アレみたいな感じで泡が立たないんです。
いや、この洗剤が無添加とか自然派とかでうってるってんならわかるんですよ。「ああ、泡立たないのは地球に優しいんだな」みたいな感じで理解できますよ。でもそんなことは全くなく「汚れを落とすためなら何でも使う。親の命すら厭わない」みたいなテンションの商品なんです。地球の前に親に優しくしてほしいってレベルで「汚れ爆落ち!!」みたいな商品なんです。
まあね、泡立ちがなくても汚れが落ちてればそれはそれでいいっちゃいい、風呂掃除の目的は達成されるっちゃされるんですけど、風呂掃除中のモチベーションは何かって話なんですよ。
風呂掃除中ってやっぱり「綺麗になってる感」がほしいわけじゃないですか。
浴室を泡まみれにして、全部擦り終わったらシャワーでドザーッと泡を流す。流し終わったらピカピカ! キレイ! これじゃないですか。
風呂掃除中、まったく泡立たないまま浴室を擦っててみてくださいよ。不安になってきますよ。夜間ドライブ中の見知らぬ山中で明らかに人気のない細い道にナビされたときみたいな気持ちになりますよ。本当にこれでいいのか。間違ってるんじゃないか。信用できるのかと。
あまりに泡立たないもんだから「あー、もしかしたらこのスポンジがいけないのかな。確かに結構長い間使っててボロボロだもんなあ」と考え、新しいスポンジまで出しましたからね。「そっかー、スポンジか。いけねいけね。そりゃスポンジが悪ければ泡立たないよなあ」ってな感じで新調しましたからね。「ごめんごめん、僕が悪かったわー」ってな感じで新しいスポンジ使いましたからね。結果泡立ちませんでしたからね。
どうなってんだほんと。
今度は逆にじゃあこの新調したスポンジが悪かったのかなとか意味のわからないことまで考えましたもん。変える前のスポンジは古かったから泡立たなかった。変えたあとのスポンジはスポンジの質が悪くて泡立たなかった。そういうコト!? とか考えましたもん。そういうコトじゃねえよ、どういうことだよ。
もう最終的にムキになってその洗剤1本全部使い切る気でめちゃくちゃぶっかけまくって風呂掃除しましたもん。でもどんだけぶっかけても全然泡立たない。僕を嘲笑うかのように泡立たない。ほんとモチベーションゼロ。風呂掃除が全然楽しくない。
んで後日、普段から使ってた洗剤を買って来て風呂掃除したんですけど、まあ当然ですけどめちゃくちゃ泡立ちましたからね。モチベーション爆上がりですよ。泡立つだけで風呂掃除ってこんなに楽しいんだって思いましたよ。
あの洗剤ほんと許さない。
まああのネガティブな話なんでね、商品名を出すのは一応控えておきますけど、ほんと許さない。トイレ用洗剤ではお世話になってますけど、風呂用洗剤はもう二度と買わん。許さん。