感受性が少なくなっても青春のダメージは癒えない
ということでクリスマスイブですけれども、みなさんご機嫌いかがですか。どうですか、クリスマスを楽しんでいますか。
僕は友達に「イブにオンライン飲み会しようぜ！」って言ったら「クリスマスを楽しみたいからしない」って言われました。そいつ彼女とかいないはずなのに「お前とじゃクリスマスを楽しめねえんだよ」っていう浦飯幽助ばりのストレートをいただきました。
どうですか、クリスマスを楽しんでいますか。
まあまあね、とはいえアラフォーのおっさんがクリスマスイブをつかまえて「オンライン飲み会しようぜ！」もないっちゃないわけなんですよね。いい歳して何してんだと。世のおっさんたちの大部分は家族とクリスマスを過ごしているわけですよ。子供や家族にプレゼントを用意したりね、ちょっと良いレストランを予約したりしてね、和やかに過ごすわけです。そこにきてアラフォーのおっさんがですよ、「オンライン飲み会しようぜ！」ってもう絶望じゃないですか。お前は今までの人生何をしてきたんだと。何も変わってない。20年前から何も成長していない。
とはいえ20年前のクリスマスといえば、僕はネットで「カップルは滅べ！」とか呪詛を吐いていたわけですよ。非モテにとってクリスマスとはネットで憎しみの言霊を紡ぐイベント。そしてチキンやケーキ、シャンパンをエロゲのヒロインを映したPCモニターの前に並べ「俺は今日嫁とイチャイチャするんだ」と悲しい写真をレスする。そういうイベントだったわけです。
しかしそう考えると、僕は当時のように「クリスマスのイルミネーションを見てるカップルにピンポイントで隕石落ちろ」などとは思わなくなりました。
幸せそうなカップルとかを見ても、淫気を発しているラブホテルとかを見ても、なんていうかこう、「カップル？ ふぅん、滅べば？」程度の、どうでもいいなという感じになってしまったんですね。
YouTubeで観たんですが、サイコパスの人で有名な岡田斗司夫さんによると「歳をとると感受性が落ちる」らしいんです。
その動画では思春期の視聴者の悩み相談という文脈で「死にたいと思うのは感受性が豊かだから。今の思春期を通り過ぎて中年になってごらん。感受性が少なくなって、大体のことがどうでもよくなるから。だから歳をとってからの方が楽に生きられるから」という、いい話なのかとびっきりの脅しなのかよくわからない話をしていたんですが、中年となった今、確かにそうなのかもしれないなと思ったわけです。
まあ中年となった今でも全然死にたいと思ったりはするんですけど、確かに感受性は低くなっているのかもしれないなと。体力が落ちてるってのもありそうなんですけど、感情の振れ幅が年々少なくなっているように思えるんですよね。
また、一説によると目も子供と大人では大人の方が普通に劣化してて、景色が子供ほど色鮮やかに見えていないという話もあるじゃないですか。綺麗な景色を見たところで、若い頃ほどのテンションで「うわあ綺麗！」ってならないのは、色々なものが衰えているからなのかもしれません。
つまりおっさんは体どころか感情を動かす体力もなく、目も劣化して景色を見ても綺麗に見えなくなっているってことですな。なんだそれ、死にたい。
でもね、確かに気力も体力も目も衰えて感受性も無くなった、感情を忘れた殺し屋みたいなおっさんになったんですけども、「青春」というもののダメージは若い頃よりも増大していると思うんですよね。
古くは「あずまんが大王」で酒飲みながら号泣しましたし、「けいおん！」の最終回でも号泣しましたし、昨日なんて「ゆるキャン△」のseason3観てボロ泣きですよ。
ああいうね、学校生活の日常アニメはね、ほんとダメ。
どう頑張ってもあの頃には戻れないという喪失感と、戻れたとてあんなに充実した日常は送れないだろうという無力感。
そして多分「卒業」とか「別れ」みたいなのに弱いんでしょうね。特に春のエピソードなんて「出会い」の端々に「別れ」を感じ取ってしまう。なでしこが桜の蕾の写真を撮ったりするだけで「桜＝卒業＝別れ」という図式となり、涙腺が決壊するというシステムが出来上がってるんですよね。ゆるキャンなんて高校一年生の話だから卒業までまだまだなのに。
でもこんなに仲がいいキャラクターたちもいつかは学校を卒業して、大学時代や新卒時代くらいにはまだたまに集まっていたものの、次第にライフスタイルが変化していって疎遠になっていく。子供も独り立ちした頃、ふとあの時の友達は元気かな、何をしているのかな、と連絡を取ろうとするもすでに連絡先が変わっていて、そうだよね、みんな変わっていくよね、私もそうなのかな、変わったのかな、なんて窓から見える散りゆく桜を眺めながら思うとかね、そうなっていくんですよ！ だんだん友人関係も変化していくの！ ライフスタイルとライフステージの変化とともに！ おっさんになるとそうなっていくの！
そんなふうに保険の営業みたいな単語使いながら考えるともう寂しくて寂しくて。別れないでくれー、ずっとみんな一緒に楽しくやっていてくれーって思ってもう号泣ですわ。
リアルに先日は神社の境内で座ってる中学生くらいの男女を見つけて「ウウゥゥーッ！」ってなってましたからね。なんなのこのおっさん。間違いようがなく不審者じゃん。
感受性は落ちたかもしれないけど、青春の傷痕は深くなるばかり。
この傷跡も癒えることなくいつか何も感じなくなるのかな。
どうですか、クリスマスを楽しんでいますか。