映画バットマン・ビギンズを観て、モチーフがコウモリで良かったと思った

クリストファー・ノーランが描く「ダークナイト・トリロジー」と呼ばれる「バットマン3部作」の最初のエピソード。
ゴッサムシティ随一の資産家の息子=ブルース・ウェインが主人公で、この人が如何にしてバットマン化するかが描かれています。

僕はバットマンシリーズをほぼ見たことがなくて「コウモリのコスプレして犯罪者を腕力でなぎ倒すモッサリした人」ってイメージしかなかったんですが、見た結果のバットマン像はほぼほぼそのとおりでした。

ただ、テーマとして「恐怖」について語られていて、映画としては非常に楽しく視聴できました。
さすが評価が高いだけあるよね。

あと、バットマンのモチーフがコウモリで良かったな、とも思いました。

【スタッフ】
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン、デヴィット・S・ゴイヤー

【キャスト】
クリスチャン・ベール(ブルース・ウェイン)
レイチェル・ドーズ(ケイティ・ホームズ)
ゲイリー・オールドマン(ジェームズ・ジム・ゴードン)

バットマン・ビギンズあらすじ:恐怖を克服する生まれ変わりの物語

幼少期、自宅の井戸に落ちてしまった際にコウモリに襲われたことで、コウモリにトラウマを持つブルース・ウェイン。両親と観劇に行ったとき、コウモリを連想させるシーンがあったために怯えてしまい裏口から途中退場します。
そのまま両親と裏路地を歩いていると強盗に遭遇。両親を殺されてしまいます。

なんかすごいよね。資産家が行くような劇場ってこう、きらびやかで華やかなイメージがあるじゃないですか。でもゴッサムシティって資産家が行くような劇場でも裏口を出ただけで薄暗くて雨も降ってないのにビチョビチョに湿ってて気軽に銃を発砲してくる強盗にエンカウントするんすよ。やばない? 治安の悪さやばない?

そんな辛い体験をしたウェインは青年となり、両親を殺した強盗=チルが司法取引をして仮釈放されると知り「仇とったる!」と拳銃を手に公聴会へ。
討伐のスキを伺っていると、チルはゴッサムシティのマフィアのボス=ファルコーニに司法取引の報復として殺されてしまいます。

「自分で手を下したかったけど、しゃーない。ファルコーニに感謝や。正義の鉄槌が下された」

「え? マジで言ってるの? 司法も警察も政治もファルコーニによって買収されてて、ゴッサムシティは腐りきってるんよ。あんなもん正義ちゃうわ。今はもう、あなたの両親のように不正と戦う人もおらんのよ」

仇討ちは成せず、幼馴染でガールフレンドで検事のレイチェルに諭され、会いに行ったファルコーニには「お前は世界の残酷さを知らんやろ。人は理解できないものを恐怖する」「根性だけはあるみたいやな。お前の親父さんは犬のように命乞いをしたらしいやんけ」と煽り散らかされ散々な目にあうウェイン。

そこで「なんやねん!! じゃあ世界の残酷さや犯罪心理を知れば怖くなくなるやろ!!」とよくわからん船に密入して世界犯罪ツアーへ出発します。まっすぐすぎるでしょウェイン。言われたことをすぐにやる社畜の鑑みたいになってる。

そんで、どこだかよくわからないアジアの刑務所で服役中に「影の同盟」っていう怪しすぎる団体に誘われるんですけど、誘われ方がめちゃくちゃ雑なんです。
「青い花を摘んでヒマラヤの山頂に来い」って言われるだけなんです。ヒマラヤの山頂って言ったってそんなもん範囲めちゃくちゃ広いじゃないですか。青い花って言われたって、どれだよって話じゃないですか。
しかもアジアの刑務所からの釈放のされ方も雑で、完全にManVSWild。ベア・グリルスみたいな放り出され方で、ほとんど遭難みたいな状態からヒマラヤを目指すんですよ。
無理無理。装備ゼロで登れる山じゃないよヒマラヤ。フロムゲー並の難易度だよ。
とか思ってるうちにすんなり青い花を取得してヒマラヤ山頂にたどり着くウェイン。なんやこいつ。

そこで影の軍団の一員として格闘技とか「恐怖を克服する」というマインドを叩き込まれたウェイン。最後の試験として炎上系YouTuberみたいな謎のおっさんを処刑するように言われるんですが「処刑はしない。裁判しろ」と突っぱねます。結果、影の軍団とは決裂。建物を放火して軍団をミナゴロシに。処刑はしないけど放火したうえに殺人はするスタイル。つよい。

こんな感じで恩を仇で返す立派なサイコパスへと成長したウェインはゴッサムシティに帰還。
市民に犯罪のないゴッサムシティをみせるため、そして犯罪者に「恐怖」を与えるため、自分自身の恐怖の象徴であるコウモリをモチーフとしたヒーロー、バットマンとしてゴッサムシティの犯罪に立ち向かうのでした。

感想:恐怖の対象がコウモリで本当に良かった。危なかった。

基本的なテーマとしては、大富豪ブルース・ウェインからバットマンへの「生まれ変わり」とか、「再生」をイメージしてると思うんですよ。

幼少期に井戸に落ちたウェインは父親に救出されるんですけど、そのときに父親が「人はなぜ落ちる? 這い上がるためだ」と言うんです。めっちゃ良いこと言うんです。

井戸に落ちて、そこで「恐怖」と出会い、その恐怖と向き合って、井戸から這い上がる。

コウモリへの恐怖や「自分のせいで両親を亡くしてしまった」という罪悪感、両親を殺した強盗への復讐心や、犯罪への憎しみ。
ウェインはそういった様々な感情を克己し、犯罪を撲滅するためにバットマンになる。
そういうお話だと思うんです。

そういうお話だとは思うんですけど、なんていうか、一番感じたのは、「ウェインに恐怖心を植え付けたのがコウモリで良かった」ってことなんですよね。
ウェイン少年にトラウマを与えたのがコウモリだったから、恐怖の象徴としてコウモリを使ったコスプレをしたおっさんになったんであって、トラウマの対象が例えば女性だったら、もしかしたら女装するおっさんになってたかもしれませんからね。
井戸から出てきたのがコウモリじゃなくて貞子だったらマジで女性恐怖症になってたかもしれない。そして犯罪者に恐怖を与えるために女装して暗躍するヒーローになってたかもしれない。
夜な夜な女装して犯罪者を倒すおっさんとかマジで怖いから。コウモリのコスプレより全然恐怖を感じるから。

劇中でも、ファルコーニの手下に襲われているレイチェルが、手下を撃退したと思って(本当は背後でバットマンがぶん殴って倒してる)安心して振り返ったら真っ黒なコスプレしたおっさん=バットマンを発見して「ギャーーッ!」って叫ぶシーンがあるんですけど、これが女装したおっさんだったら間違いなく失神してる。

笑ったのが、麻袋をかぶって手から幻覚ガスを出す変態「スケアクロウ」っていう敵が出てくるんですけど、このガスに毒されたレイチェルを救出するシーンがあるんですよ。
レイチェルは解毒剤によって正気に戻るんですけど、目覚めたら横に「狂気から救うためにここにつれてきた」とか言う真っ黒なコスプレおっさんがいるんです。いやいや、お前が狂気なんじゃ! って話なんですよ。全然まだ狂気から救われてないわ! って話なんですよ。
まあでも、横にいたのが真っ黒なコスプレしたおっさんでまだ良かった。女装したおっさんだったら間違いなく発砲してる。

ほんとウェインにトラウマを与えたのがコウモリで本当に良かった。
危うく犯罪者以上に被害者を恐怖のドン底に突き落とすところだった。

とまあクソミソに書いたんですが、基本的には文句のつけようがなく面白かったです。
僕のようにバットマン完全初見の方も楽しめますんで、まだ見てないよって方はこの機会に是非。



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日記,映画

Posted by たくろう