漫画「私の少年」第1話あらすじと感想:無料で読める公式サイト
こんにちは、たくろうです。
皆さん「私の少年」という漫画をご存知ですか?
高野ひと深さんという、変換するときに「ひと」と「深(ふかい)」で変換しないとご尊名を打ち出せないブロガー泣かせの作者さんが書いていらっしゃる漫画です。
この漫画は、「30歳OLと12歳小学生が出会う」という、おうおう、出会ったからといって何が始まるんですか? 始まっちゃうんですか? というお話です。
もうこの一文だけで危うさを孕んでいることがヒシヒシと伝わってきますよね。
案の定、「私の少年」を読みすすめていくと、人と人との繋がりというのは本人たちの想いに関わらず、世間体や社会的立場によってこんなにも危うくなるんだよなあというのを再確認させられます。
聡子ちゃんの日常に潜んでいる「寂しさ」とか「虚しさ」みたいなもの、おっさんの僕でも「ああ、なんかわかるわあ」と思いながら読んじゃいますし、そこに「真修」という非日常が飛び込んできて、その非日常が日常になりかけていくんだけど「おいおい待てよ、これは日常ではないんじゃないか? というか日常にしてはいけないだろ」とブレーキをかける聡子ちゃんがいる。
でも真修はどんどん聡子ちゃんが大切な存在なんだと気づきだして、どんどんこちらにアクセルを踏んでくる。
おいおい若えなあとなり、その真修くんの純粋な感じと勢いにキュンキュンする。
どうする、今おっさんがキュンキュンするとか言っちゃったよ。
そんなわけで、「私の少年」を是非いろいろな人に知ってほしいので、いろいろな人にキュンキュンしてもらって、おっさんがキュンキュンしたことに赦しをいただきたく第1話のあらすじと感想を記事にしてみました。
漫画「私の少年」あらすじと感想
スポーツメーカーに務める30歳、多和田聡子は夜の公園で12歳の美しい少年、早見真修と出会う。
元恋人からの残酷な仕打ち、家族の高圧と無関心。
それぞれが抱える孤独に触れた二人は互いを必要なものと感じでいきーー。「私の少年」第1巻裏表紙より引用
元恋人からの残酷な仕打ち
聡子ちゃん(30)の勤め先には大学時代になんとなーく付き合って、ふふふーんって感じで別れちゃった先輩のモトカレが上司として努めているですけど、こいつがまた鬱陶しいんですよね。
会社で昔のノリそのままに「聡子~」とか言ってみたり、事あるごとに「おう飲みに行こう」とか「最近冷たいじゃんどうしたの」とか言ってみたり。
そんな感じでこられたら、もう付き合うとかないって思ってても、期待なんてしてないって思ってても、別に好きじゃないとかでも、なんかこう、心が揺らぐじゃないですか。
「おー……ぉおん」みたいな感じになるじゃないですか。なんていうのこれ。この淡い感情。
そんなに私に構わないでよ。お互いなんとも思ってないんだし。飲んだって結局仕事の愚痴とかばっかで、そんなのフモーじゃない?
「じゃあフモーじゃなければいいの?」
とか言ってね、腕を掴んでくるの。上司。
あ、こいつ椎川ってんだけどね。定時で帰ろうとした聡子ちゃんの腕を掴んで言ってくるの。椎川が。
そんで「明日空いてる?」とか言ってくるの。
「えぇ……ああ、はい……」ってなっちゃうじゃん。なんなのって。
そんな、「聡子が俺と飲みたくなる方法知らない?」とか言ってくるのはなんのつもりなの。
そんで予約してあるって飲み屋に少し遅れて行くと、椎川が女性と一緒に待ってるの。同じ指輪を薬指につけて待ってるの。
は? ですよ。
何がしたいの? 意味がわからない。
マウントとりたいんか? ちょっと飲みに行かなかったからってもう用済みってか? それともあれか、謎の所有欲か? 「聡子ちゃんは僕のモノなんだから誰かのモノになっちゃダメなんダゾ!」ってか?
ほんと最低! 椎川最低! アホ! ナルシストメガネ! 腐れイケメン!
家族の高圧と無関心
真修くん(12)は父と弟の3人で暮らしていて、サッカークラブに所属しています。
夏合宿前にレギュラーテストがあるので朝と夜に公園でリフティングの練習をしている超絶美少年。
夜の公園でひとり練習をしているところを変質者に連れて行かれそうになり、聡子ちゃんに助けられます。
それがきっかけとなり、学生時代フットサル部に所属していた聡子ちゃんの指導のもとリフティングの猛特訓。
結果、リフティングはクラブ2位を取るものの、紅白戦でミスを連発。結局レギュラーにはなれませんでした。
その報告を聡子ちゃんにするんですが
「小学生の内にレギュラーになれないならこの先花開くとも思えないし、もともと向いてなかったと諦めたほうが良い。だから辞めます」
と、小学生とは思えない修辞に満ちた言葉で話をします。真修くん天才か?
しかし聡子ちゃんはここで「これは親の言葉だ」と気づきます。
親が真修くんに言い聞かせていた言葉、それを真修くんはそのまま口にして、諦めようとしているんだと。
真修くんはその服装は年の割に幼く、髪は伸びっぱなし。服も着替えていなくて、お風呂も入っていないような状態です。使っているボールの空気だって抜けています。
この子はどんな環境で育てられているんだろう?
お母さんがいないって言ってたけど、どういうことなんだろう?
ちゃんと面倒をみて貰っていないよね?
それぞれが抱える孤独に触れた二人
そんなわけで、聡子ちゃんは真修くんをお風呂に入れるために自宅に連れてきてしまいます。
「人ん家の子を勝手に連れてくるってどうなの。いや、風呂にも入れない親もどうなのよ。それよかマシ」
と自己肯定をしつつ、真修くんの着替えを用意しつつ、椎川とその婚約者との屈辱の飲み会の後だったため、眠り込んでしまいます。
ふと目をさますと目の前にはお風呂から上がった真修くんが飛び込んできます。
聡子ちゃんは驚いて飛び起きるんですが、寝ぼけて「体温計……」と口走ってしまいます。
聡子ちゃんは寝て起きたら体温を図る癖があり、記録も何もしていないのだけど、体温計のピピッという電子音を聞くことで覚醒するのだとか。
「もう何年かな。ずっと続けてんだよね。なんにも意味ないのに」
「なんで、ですか」
真修くんの問いに聡子ちゃんは「なんでだろね」と答えるんですが、その時頭の中には大学時代、椎川と付き合っていたときの思い出がフラッシュバックします。
きっと、体温を図るのは椎川と付き合ったことによって癖ついたルーティンなんでしょうね。
椎川、いや、クソバカメガネ椎川と別れた今はもう、体温を図る理由はない。
でも
「はじまりだけはずっと覚えてる」
そんなに好きじゃなかった未練なんてひとつもない。
それは間違いないのに。あれからずっと
彼も
わたしと同じものを抱えているとばかり
勝手に
思い込んでいた。
「私の少年」第1話より引用
これ!!
これすげーなんか、わかるうぅううううってなりません!??
なんかモトカノと別れた後、そんなスッパリというか、カッサカサな感じになってほしくなくないっすか? というかならなくないっすか?
引きずってると言えばカテゴリ的にはそうなるんでしょうけど、でも別にこう、あなたに新しい恋人ができようが婚約者ができようが関係はないわけですよ。
ただ、付き合っていた頃のあの感覚とか、付き合い出した頃の思い出とか、別れた理由とか、そのときの状況とか言葉。
そういうのって引きずっちゃうものじゃないですか。
僕なんてモトカノが置いて行ったロリエの空箱がしばらく捨てられずに、小物入れとして活用してましたもん。使い勝手も良かったですもん。
なんていうかなあー。腹の底にこう、その時の思い出を良くも悪くも抱えて生きることになってたりするわけですよ。
そんで
そこは同じだよね。
ひとときとはいえ、人生を共にしたんだもんね。
という、期待感というか、忘れてないよね、というか、あるわけですよ。その、気持ちが。
好きとか未練とか、そういうことじゃなくて、でもこう、人生の中で自分の気持ちとか感情をその人に注いだ期間がお互いあるわけなんだから、好きとかじゃなくて、大切にしたくない? っていう。
完全にうまく言えてなくて、真修くんにも劣る語彙力での説明で失礼致します。
でも! わかるよね! なんかこう、わかるよね!!?
30歳OLと12歳小学生の「はじまり」
「はじまりだけはずっと覚えてる」
そう思い出してしまった聡子ちゃんは、真修くんの前で泣き出してしまいます。
そりゃそうよ。「いつも絡んでくるモトカレに誘われて飲みに行ったら婚約者がいました」とかどれだけ地獄なのよ。どれだけ椎川はカスなのよ。
それを見た真修くんは聡子ちゃんを胸に抱き寄せます。キャー!!
「お母さんが、悲しいときは人の胸の音を聴くといいって」
ねえ、ねえねえ奥さん、こんなこと出来る? 小学生の、12歳の男の子が年上の女の人にこんなことできる?
僕が12歳の頃なんて完全に隠れ鬼とドロケイで灼熱の争いを繰り広げてましたよ。
あの頃の僕、目の前で女の人が泣き出したって「悲しいときは人の胸の音を聴くといいって」なんて言えないし抱き寄せられないよ。
というか今でもそんなことできないよ。
できないしワンチャンやったとして通報されちゃうよ。
もう「どどん波!!」って言うしかないよ。
すごいやつだよ、真修。
これは優しさなんだと思います。真修くんは基本的に他人のことをよく考えることができる人なんだと思います。
優しい美少年とかもう最強じゃないか。巨乳のグラビアアイドルくらいのポテンシャルじゃないか。
真修に抱いてもらった聡子ちゃん。
しっかりと真修くんの目を見て言います。
……はじまりは
色んなものがきっかけだったよね。
でも
ここまで続けてきたのは
あなたよ。
終わらせるのも
あなたでいいの。
「私の少年」第1話より引用
きっと、これは真修くんへ向けてでありながら、聡子ちゃん自身への言葉でもあったんだと思います。
聡子ちゃんは「アホ椎川への期待」
真修くんは「サッカー」
他人によって「終わらされる」のではなく自分の意思で「終わる」
もしくは「終わらされる」のではなく自分の意思で「続ける」
そう聡子ちゃんに背中を押してもらった真修くんは、泣きながら「おれ、サッカーやめたくなかった」と本心を吐き出します。
そして迎えた朝。
真修は聡子ちゃんに「またサッカー教えて下さいっ!」と。
聡子ちゃんは体温計の音に頼ることなく目を覚ますことができました。
「私の少年」第1話、公式にて完全無料公開!
最後んとこ、小学生の子を他人が一晩泊めるってどーなのよ、とはなりましたが、めっちゃ密度の濃い話でした。
トラウマからの脱却、とまではいかないんですけど、ふたりでいることで前を向くことができるというか、これからの展開が最高に気になる良い1話だったと思います。
そんな第1話は「私の少年 特設サイト」にて無料で公開されています。
このサイトはおそらく累計70万部突破記念のプロモーションで作られたものっぽいので「最新刊私の少年4」とかなってますけど、2019年10月現在で6巻まで出てます。
あ、というか双葉社から講談社へ移籍したのが4巻だったのかな。
実際に読んでもらうと、僕の拙い表現では味わえない空気感があるので、ぜひ試しに読んでみてください。
特に「はじまりだけはずっと覚えてる」のあのくだりね! ちょっと僕は言語化するのが不可能だったんでぜひ読んで、ぜひ感じてください!
そして言語化できたら教えて下さい!
そんで「あ~わかるう~!」とか言い合いましょう!
私の少年
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