人生にひまつぶしは存在しないというお話【#3000文字チャレンジ】

こんにちは、たくろうです。

Twitterのブログ企画「#3000文字チャレンジ」に参加させて頂きました。
この企画は毎週木曜日に発表されるお題に対して「文字の装飾禁止」「画像の挿入禁止」かつ「3000文字以上書く」というものです。

今回のお題は「ひまつぶし」

「暇つぶし」ではなく「ひまつぶし」ってひらがなで書くあたりがニクいですよね。
何がどうって具体的には言えないですけど、なんかこう、琴線を爪弾かれますよね。

さて、この「ひまつぶし」ですけど、実際のところ「ひまつぶし」ってなんなんだろうと思うんです。

「ひまつぶし」という言葉って、「本当に意味のないことをただ時間を潰すためにやっている」ってイメージありません?

ただただ、時間を経過させるためだけの行動というか。
スカイリムでウインドヘルムの殺人事件を解決するためにただただそのへんをうろつくみたいな。
まあこの場合は宿屋で寝れば良いだけなんですけど。

そういう視点で「ひまつぶし」を考えたとき、「人生においてのひまつぶし」というのは存在するのかなと思ったわけです。

「あー暇だなー」って時、皆さんは何をしますか?

「TVを見る」

「映画を見る」

「読書する」

「ゲームをする」

「とりあえずタバコ吸う」

「飲んじゃう! 昼だけど、暇だから酒飲んじゃう!」

などなど、それこそ千差万別、様々な選択肢があると思います。

でも、これらのいわゆる「ひまつぶし」も「本当に意味のないことをただ時間を潰すためにやっている」には当てはまらないと思うんですよね。

僕の友達にR君ってやつがいるんですけど、十数年前に失踪したんですよ。
結局1年後くらいかな? それくらいに発見されたんですけど。

失踪する前、R君は高校時代からの彼女と大学在学中にデキ婚というか授かり婚というか、若干呼んでないのにある日天使がラッパ吹きながらコウノトリと一緒に来て「そこのキャベツ畑で採れました!」みたいなこと言いながら赤子を置いていくみたいな事象に直面したんですよ。

どうすんだと。
このキャベツ臭い赤子どうするんだと。

今ならまだ天使もラッパ吹いて飛び回ってるし、なんならコウノトリはその辺の浅瀬でカエルとかついばんでる。
返却するなら今しかない。

彼女は当時何してたかわかりませんが、R君は大学生だし、ちゃんと育てていけるのか不安が残る。
育てることができればもちろん良いけど、経済面とかモロモロ考えると現実的ではないんじゃないか。

どうする? 返しておいた方が良いんじゃない?

しかし、

「返すなんて絶対嫌! 絶対私育てる!!」

という彼女の固い意思のもと、結局赤子を授かることになりました。

赤子を育てるとなれば、呑気にキャンパスライフをエンジョイ! とはいきません。
R君は大学を退学し、働くことになります。

少しでも実入りの良い仕事を、ということでR君は夜の仕事を選択しました。

当時のことは詳しく聞いていないのですが、どうやらかなり大変だったようです。

というのも彼女はほとんど何もしなかったので、R君が家事の一切をやりつつ、仕事をしていたそうです。
まあ子供がいた上にR君の視点からの話しか聞いていないので、彼女がどれほど何もしなかったのか、本当のところはなんとも言えませんけど。
ていうか実家じゃないってところもまたスゴい。

そんなわけでR君は昼間に家事をこなし、夜に仕事、朝にまた家事。
しかもどういうわけか「仕事後1時間以内に帰宅しろ」というかなり強固な門限が設定されていたそうで、それもR君の精神を蝕むのに一役買っていました。

そんな折、彼女が

「いい加減夜の仕事をやめて、昼の仕事をして」

という要望を出してきました。

R君は「実入りがいいから夜の仕事してるんだけどな……」と思いつつも、昼の仕事をするために夜の仕事を辞めることにしたそうです。

職場では結構かわいがられていたようで、「じゃあ盛大に送別会をしよう!」という話に。

しかしそのときも門限は絶対という鉄の掟が破られることはなく、それを同僚に話すと「じゃあその日は少し早めに仕事を切り上げて、ジャカッと打ち上げよう」と言ってくれたそうです。

なにそれ、めっちゃ良い同僚。

そして仕事最終日。
R君は予定通り盛大に送別会をしてもらいました。

楽しく飲み、楽しく騒ぎ、別れを惜しみました。
そして門限があるから! 申し訳ない! と主役にも関わらず切り上げて帰るR君を引き止める人はいなかったそうです。

そして家に帰り、ドアを開けると

「ガッチャン!」

経験者は分かると思うんですけど、ホント、何が起きたかわからないんですよね。
ドアの鍵あけているのにドアがほんの少ししか開かない。
あれれ? なにこれ?

あっ、チェーンかかってる!

チェーンのせいだというのはわかるんです。
チェーンがかかっているから物理的に開かない、というのは理解できるんです。

しかし、そうすると次は「なぜチェーンがかかっているのか?」という疑問が生まれるんですよね。

当然、チェーンをかけた人に聞くじゃないですか。
家の中にいる人にわけを聞くじゃないですか。

なんでチェーンかかってるの?
間違ってかけたの?

と聞くじゃないですか。

R君も同じように「なぜチェーンがかかっているのか?」と聞いたそうです。
すると返ってきた言葉が

「3分遅刻」

もうね、ホラーかなと。

送別会をしてくれるってことはわかっているわけでしょ。
平時とは違うわけですよ。

しかも自分の送別会だよ?
でも門限が在ることはちゃんとわかってるから、主役にも関わらず切り上げて帰ってきたんだよ。

確かに3分の遅刻はしてしまったけど、情状酌量の余地があってもいいでしょうよ。
始業の時間だけに厳しすぎる日本社会の負の側面みたいな話だよ。

そこで糸が切れてしまったR君はそのまま失踪したそうです。

僕のところにも友達づてに「R君の居場所を知らないか」という連絡が来て、そこで初めて失踪しているということを知りました。

その後本人からも「匿ってくれないか」という連絡が来ました。

もうね、爆笑ですよ。
だって、失踪ですよ、失踪。

失踪してる友達から連絡ですよ。
面白すぎる。
「なんか面白いことしてるらしいじゃん」と大笑いしてやりました。

全然匿っても良かったんですが、地元から離れて東京にいるということを伝えると「それじゃ頼れないな……」ということで引き続き失踪に戻っていきました。

後日談ですが、R君は「あの時笑ってくれたことで救われた」と言っていました。

いや、面白すぎるでしょ。
「友達が失踪」ってパワーワードすぎる。

まあ、元気そうだったから笑えた話なんですけどね。

その後、彼女が雇った探偵によって発見されたR君。

結局彼女とは別れたそうですが、その時に

「探偵を雇った費用」

「あなたが失踪した心労の治療費」

「失踪した期間の養育費と、これからの養育費」

「あなたが失踪したせいで免許の更新に行けず、失効したから再取得のための費用」

「あと車ほしいからそのお金」

を請求されたそうです。

後半の畳み掛け方がハンパじゃない。
「車欲しいからそのお金」とか請求する人が、治療が必要なほどの心労を感じるものなのか。
まあ復讐みたいなものなんでしょうけどね。

その後彼女はキャバ嬢とかやりながら生活保護を受けるというエクストリームな生活をしているいう風のうわさを聞きました。

すごい。
たくましすぎる。
絶対心労なんて感じてない。

まあそんなわけで、失踪から発見されて少ししてから、地元で一人暮らししているR君の家に遊びに行ったんです。
それがね、まあ凄かったんです。

なんかね、とりあえず家の前がぬかるんでるの。
雨が降ったわけでもないのに、家の前の地面がぬかるんでるの。
ズルズルしてて、なんなら水たまりとかあるの。
河童でも祀ってるのかなって話なの。

そんで家の中にある家具はベッドとTVだけ。
あとはビートルズのポスター。
ロックスターか。

そして驚いたのが、第3ビールの空き缶と、ジンの空き瓶がほんと足の踏み場もないってくらいに超大量にありました。
一応巨大なゴミ袋(多分90Lクラスのやつ)に入ってはいるんですけど、それもほんと、これから業者に持ち込むのかなってくらい超大量。

あとは昭和の刑事ドラマの小道具かなってレベルの、灰皿に突き刺さった大量の吸い殻。
ほんと、タバコでジェンガでもしてるのかなって思いました。

どんな生活しているのか聞いてみると、近くのバーでバイトして、帰ってきたら意識を失うまで酒を飲んで寝て、起きたらまたバイトに行く。
なんならバーで飲みながらバイトしてる。
それだけの生活だと言っていました。

壮絶すぎる。
笑いましたけど。

R君は

「元カノの借金もあるし、何もする気にならない」

「ただ生きて、ひまだから酒飲んでるだけだ」

と言っていました。

ひまつぶしに酒を飲んでいるだけだ。
酒なんて飲んだってどうしようもないけど、ひまだから飲んでいるんだ、と。

ひまだから酒飲んでますって、ほんとどうしようもねえなと。
家の前ぬかるんでるし、ほんとどうしようもねえな。
靴濡れちゃう。

まあ僕も人のこと言えるほど健全な酒の飲み方してないんで、わかりますけどね。
ていうかその玄関先がぬかるんでる家で乱痴気騒ぎのパーティーしたんですけどね。
まじで楽しかった。

さて、Wikipediaによると、「暇潰し」とは『本来要求されていない行為・作業などを実施することによって時間を消費する代替行為のひとつ』とされています。

人生にぽっかりとあいた空白の時間を埋めるために、ただただ時間を消費するためだけにする行為。

しかし、人生において「ひまつぶし」の時間というのは存在しないと僕は思います。

ひまつぶしの代表格と言われる、緩衝材のプチプチをただ潰していく行為。
これも実は「ひまだから」と言いつつも、プチプチを潰すことによってストレスを解消する行為と言えます。

関係ないですけど「産まれて初めてプチプチを見る2歳の幼児が、何も教わらないうちにつぶし始めた」ってWikipediaに書いてあるけどホントかな。
プチプチ潰しがDNAに組み込まれてるじゃん。
動物の本能じゃん。

話を戻しますと、R君の「ひまだから酒を飲む」という行為も「失踪して、子供も失って、借金が出来て、人生疲れた、もう何もする気が起きない」現実からの逃避という、本人にとっては大切な時間なわけです。
それが適正な行動かどうかは別として。

冒頭に挙げた

「TVを見る」

「映画を見る」

「読書をする」

「タバコを吸う」

といった行動も、ひまつぶしと言いつつ本人にとってはリフレッシュだったり、ストレス解消だったり、勉強だったり、それが必要だからやっているのではないでしょうか。

僕たちが取る行動ひとつひとつの裏側には、必ず隠された行動原理があるはずです。

そう考えると、「ただ時間を消費するためだけにやっている行動」というのは、実は存在しないのではないでしょうか。

「人生はひまつぶし」という言葉がありますが、これは逆説的に「人生にひまつぶしなどない」といえます。

リフレッシュやストレス解消という行動は、人生において必要な行動のはずです。

自分自身が「ひまだから」と思ってやっている行動でも、自分でも意識していなくても、実は必ず意味があるはず。

心や体が求めている行動であるはず。

僕らの人生は、必ず何か目的がある。

そういった視点で自分の人生を眺めてみると、また違った風景が見えてきそうです。

その観点が、また「人生のひまつぶし」に役立つのではないかなあと考えました。

 

ということで#3000文字チャレンジでした!

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