EDENの名言が残酷なこの世界を生きる僕らに刺さる
人生って1度や2度じゃきかないくらい、死にたくなることってあるわけじゃないですか。失敗したり、辛いことがあったりっていうのが、それこそ星の数ほどあるわけじゃないですか。
他人からしたら「その程度のことでクヨクヨ悩まなくたってよくない?」とか「その程度のことで死にたくなるとかメンタル弱すぎwwwワロスwwww」とか思われるようなことでも、当の本人にとってはどうしようもない閉鎖感とかとてつもない悩みに感じるわけで。苦しくて苦しくてもう生きているの辛すぎ、となるわけで。
幸福や不幸ってのは完全に個人のもので、その人の尺度でしか測れないんですよね。
箸が転がっても笑う人もいれば、箸が転がった死にたいと思う人もいるわけです。
完全に個人の捉え方の問題。
だから人生についての捉え方も「人生楽しすぎてヤバすぎワロタwwww」って人もいれば、「人生辛すぎワロタ」って人もいるんですよね。
僕は、圧倒的に「人生辛すぎワロタ」タイプ。
割合的には「辛さ9割、幸せ1割」くらいに感じていて、ほぼほぼ辛さしかない。
基本的にすぐ死にたくなる。
だって、生きるのって辛くないっすか?
朝目覚めるだけで死にたくなりません?
息を吸い続けなければいけないって割に辛くないっすか?
息苦しくならないっすか?
うん、これもう死んだ方がいいやつだわ。
ちょっと話は変わるんですけど「人生は魂の修行の場だ」という話、聞いたことあります?
あっ、待ってください。
「いきなり魂とか言い出して何こいつキモい」とか言わないでください。
やめて、石とか投げないで。あっ、待って、生卵はやめて。やっぱり人生って辛い。
いや、僕もあんまりよく知らないんですけど、魂ってのは永遠不滅のもので、この世を何回も周回してランクを上げるってのが魂の目的だという考え方らしいんですね。
ていうか魂にもランクがあるのかよって話なんですよ。
魂界でもランクマウント取られたりするのかよ。絶対僕の魂ランクめちゃくちゃ低いじゃん。魂カースト下位でお昼ごはん便所飯するタイプの魂じゃんか。そんで便所飯中に外から「せーのっ!」って声が聞こえてきたかと思ったら上から水とバケツが降ってきて「わひゃあっ!」って驚いたら「ギャハハハハ! 『わひゃあっ』だってよ!! じゃあな便所魂!」とかってイタズラされるタイプの魂じゃんか。そんでズブ濡れになって弁当もベシャベシャになっちゃって食べられないから仕方なくトイレに流して、魂スクールが終わって母親に空の弁当箱渡したら「お弁当おいしかった?」って聞かれて泣きそうになるのを我慢して笑顔で「おいしかった!」っていうタイプの魂じゃんか。
こんな魂ランク最下位の僕が異世界(地球)転生したらめちゃくちゃ歌が上手い人間になって作った歌がこれです。聞いてください。タマシイレボリューション。
もう何言ってるのか全然わからない。Superflyのファンに怒られる未来しかみえない。死にたい。
でまあ「魂のランクを上げることが目的なので、この世に苦しみが多いのダ!」という理屈の話らしいんです。僕がSuperflyのファンに怒られるのも、僕のタマシイレボリューションに一役買っているという話らしいんです。ほんとか?
んで、同じような話で「人生を自分で選択して生まれてきた」という説もあります。
その説によると、魂は「今回の人生で何を経験したいか」を完全に決めて生まれてくるらしいのです。
「前回は子供のいない人生だったから、今回は子供のいる人生を経験しよう」
「前回は日本を出ない人生だったから、今回は地球を飛び回る人生を経験しよう」
といったように人生の目的を生まれてくる前に決めている、というお話らしいんです。
さらに魂同士で利害の一致があり、不幸な魂は存在しないともいわれています。
例えば「誰かに殺される」という人生を選択した魂と「誰かを殺す」という人生を選択した魂同士は事前に「じゃあ俺お前殺すわww」「おkwwww俺も殺されるの初めてだから経験値うpできるわwwww」というやりとりをしているので、魂レベルでいえばお互いに経験値を積めるから全然OK、ということだそうです。
つまり人生でどんなことが起ころうが、それは自分の魂の研鑽のためのものなのだから全てを受け入れるだけで良いんだ、というお話ですね。
まあわかります。
そういう考え方をすることによって、人生で何が起こっても「これはこういう経験をするために用意されたイベントなんだ」と考えることで受け入れやすく、前向きに捉えることができるということですよね。
でもね、逆にいうとそういう考えを持たざるを得ないほど、この世の中は苦しみに満ちているということなんですよね。
「魂の経験値を上げるためだ」という考えにすがりつかなければならないほど、「この経験は自分で選択したことなんだから受け入れよう」と考えなければやっていられないほど、この世界は無慈悲で残酷なんだということなんですよ。
だって、日常がめちゃくちゃ幸せで生きてるだけでちょうハッピー! って人ばかりであれば、こんな思想自体が必要ないじゃないですか。
「なぜ苦しみがあるのか」なんてこと自体、考える必要がないですよね。
EDENは残酷すぎるこの世界を生きる僕らの物語
遠藤浩輝の描くEDENという漫画があるんですが、すごい面白いんですよ。
ジャンル的には近未来SFアクションになると思うんですが、幾つもの組織と人の意思が交錯していくかなり複雑なストーリー。
あらすじを書いてみたいんですけど、あらすじ書くだけでかなりの長文になるのでものすごい簡単に説明してみますね。
えっとね、主人公のエリヤ=バラードという少年の成長物語です。
え? 簡単すぎる? でもでも、これ以上踏み込むとめちゃくちゃ長くなりますよ?
うーんとね、「クロージャーウイルス」っていうウイルスが世界規模で大流行するんですよ。こいつに感染すると「皮膚が硬質化して代謝ができなくなり、やがて全ての内臓が腐り液状化して身体中の穴という穴から噴出していく」というヤバい症状出るんですけど、こいつのせいで世界人口が半分くらいになるんですね。
このヤバいウイルスのおかげというか、副産物的に人体のサイボーグ技術なんかが格段に進化したりするんですけどね。
んで、このウイルスの抗体を先天的に持っていたのがエンノイア=バラードとハナ=メイオールでして、この2人がエリヤの両親なんです。
エンノイアはハナと生活していくために闇稼業というか、麻薬売買などをしてのしあがり、一大マフィアを築き上げます。
なんやかんやあってその稼業に嫌気がさし、ハナは息子のエリヤと娘のマナを連れて家を出るんですが、その途中に敵対関係にある連邦政府に捕まり、エリヤだけが命からがら逃げ出します。
そしてまたなんやかんやあってエリヤはハナとマナを取り戻すための戦闘訓練を受けつつ娼館の手伝いとして生活します。そこで初恋の人ヘレナに童貞を捧げたりします。
それでまたなんやかんやあって……って話なんですが、この作品を通して一貫して描かれているのが「この世界って残酷だよね」「理不尽だよね」ということ。
わかりやすいのが、登場キャラクターがバシバシ死んでいくんですよ。
え? 君、わりと主要キャラだったよね? みたいな人がバシバシ死んでいくんです。
後半になると、物語の進行に付随するサイドストーリーが展開されるんですけど、その中のキャラ、「え、君はこれから幸せにならなきゃいけなかったんちゃうの?」的な人もドシドシ殺される。サクサク死んでいく。
ロジーっていう15・16歳くらいの傭兵の女の子の過去なんてやたらエグいですからね。
ある日学校へ行くと反政府ゲリラがいて、上級生や先生は見せしめに殺されてロジーたちはゲリラの支配地域に連れて行かれます。そこではドラッグ・レイプ・暴力の毎日。戦闘になれば「安価な消耗品」として消費されていく。
ゲリラは薬物を使って子供を洗脳し、家族縁者を自分の手で殺させたりするんです。そうすることでその子供は村や家族から完全に隔絶され、指揮官にすがってしか生きていけなくなる。
エグい。
ロジーもこの手法の被害者で、ショックのあまり解離性健忘になっています。
こんな感じのエピソードが淡々と展開され、ストーリーが進んでいきます。
ほら、長くなったでしょ?
いや、面白いんですよ。
こんな、めっちゃ人が死にまくるしトラウマを持ったキャラが出てくるよって話をした後に「この漫画面白いんです」とか言うと「あれ、このひと異常者かな?」とか思われそうですけど、ハードな世界観と緻密な設定、迫力のある戦闘シーンと残酷で無慈悲で理不尽な世界の描かれ方が相まって、めちゃくちゃ面白いんですよ。
12年前に完結している漫画なので、一気読みが可能です。
そしてこの漫画を読んでいると、「ああ~、やっぱりこの世界って苦しみばっかりなんだよね~」って気分に浸れるのでオススメです。オススメ?
EDENにはたくさんの名言が出てくる
そんなめちゃくちゃ面白い漫画EDENなんですけど、この作品には名言がたくさん出てくるんです。
ほんともう名言のオンパレード、名言の宝石箱って感じなんです。
たぶん、お話の中で人の生き死にを扱っていること、残酷な世界を必死に生き抜くキャラクターたちを描いているからこそ、ここまで響く言葉が出てくるのかなと。
特に僕は前述したように「この世界は苦しみのほうが多い」と感じているので、同じように残酷で理不尽で無慈悲に描かれた世界を生きているキャラクターの言葉が響くんだと思うんですよね。
好きなエピソードはたくさんあるんですが、その中でも特に好きなエピソード「Brilliant Tree」を紹介したいと思います。
EDEN81〜83話「Brilliant Tree」が最高にエモくて名言がたくさん
この話は幼少期のマナの、まだ家族が一緒に暮らしていた頃のエピソードです。
この頃のマナたちは、エンノイアが麻薬で稼いだ金で豪邸に住み、お手伝いが食事を用意するような、かなり「良い生活」をしていました。
この頃、エリヤとマナにはジナという姉がいました。
このジナ姉ちゃん、運転手付きで大学に通ってたみたいですからね。すげえ。
エンノイアの仕事柄、家族にも危険があるかもしれないってことなんでしょうけど、それにしても運転手付きっすよ。大学生で。バブルか。
最近夜な夜な部屋を抜け出し、庭の倉庫に通うようになった運転手付きで大学に通うジナ。
まああの、庭っていってもめちゃくちゃ広いっすからね。
どれくらいかっていうとチャリで移動するくらいには広いっすからね。
庭を、チャリで、移動。大学生で。バブルか。
それを見つけていたマナは、ある日姉の後を尾けて倉庫に入ります。
そこには足を怪我した青年ミゲルがいました。
ミゲルは優しく、いろいろな話をしてくれたので、マナはすぐにミゲルに懐きます。
しかし、なぜジナがミゲルを倉庫に匿っているのかはわかりませんでした。
ある日、エンノイアたちが「組織の多額の金がミゲルという男に盗まれた」と話しているのを立ち聞きしたマナ。
ジナにも倉庫に出入りしていることを咎められ、「倉庫には近寄らないように。ここにいることが父さんたちにバレたらミゲルが捕まってしまう」と言われます。
「ミゲルは何か悪いことをしたの?」と問いますが「悪いことをしているのは父さんたちよ」と言われるだけ。
実はジナとミゲルは、失明しているミゲルの妹の手術のために組織の金を盗んでいたのでした。
ジナとミゲルの「ひみつ」に加えてもらえない疎外感を感じているマナ。
その日も倉庫に行くと、ジナとミゲルがセックスをしているのを目撃します。
その後、マナはエンノイアの仕事仲間に匿名でメールをします。
きっと姉への疎外感と反発心から発作的に「お姉ちゃんの秘密なんてバラしてやる!」と思いついた末の行動だったんでしょうね。
しかしこの行動が、マナの心に拭いきれない罪悪感を植え付けることになり、ジナの人生も大きく変えることになります。
次の日、ジナが倉庫に行くと、すでにミゲルは組織によって連れ出された後でした。
EDEN名言①“一生に一度の恋“にも、やがて“二度目“がやって「来てしまう」もの
「お金を送金したのは私よ! 私も同罪なのに殺すのはミゲルだけ!? なぜ私を特別扱いするの!?」
「涼しい顔していったい何人殺してきたのよ! 人殺し!!」
ジナはエンノイアに食ってかかります。
エンノイアは「お前は私の娘だ。つまり私にとって特別な存在だ」と答えます。
それからジナは麻薬に溺れます。
自分の生業の麻薬を娘が使う。それでエンノイアが傷付けばいい。
エンノイアへの当て付けとして様々な薬物に手を出し、そして当然ジャンキーとなります。
「目的は果たした。父は充分傷ついた。でもやめられなかった。禁断症状があまりに苦痛で……」
更生施設入ったジナは、そこでシスターマリーと出会います。
このシスターマリーって人は短髪メガネで褐色の、肝っ玉オカーチャンみたいな人。
この人とベンチでオレンジを食べるシーンがあるんですけど、シスターマリーがめちゃくちゃ良いこと言うんです。
「一生に一度の恋だって思ったの? そのミゲルって青年とのこと」
「……ばかにしているの?」
「とんでもない。私はダンナを3回とっかえて種違いの子供を6人産んだのよ。で、相手が変わるたびに『これは今までで最高の恋だ』って思ったもんよ」「……ジナ。どんな傷もいつかは癒えるわ。“一生に一度の恋“にも、やがて“二度目“がやって『来てしまう』ものよ。大切なのはその時に、あなたにそれを受け入れる準備ができているかどうかよ」
くうぅ〜、めちゃくちゃ良いこと言うわ。
シスターマリーめちゃくちゃ良いこと言うわ。
さすが神に仕えてる人は言うことが違うわ。
シスターになった理由が「子育てが終わって暇になったからよ」ってあたりもエモいわ。
「一生に一度」も「最高」も「最低」も「絶対」も、生きている限りないんですよね。
当たり前ですけど、生きている限り人生は続くわけですよ。
ひとつのことにとらわれて、下向いていては前から来るものが見えないんです。
前を見たくないと思っていたって、見ざるを得ない時が来る。
全てを拒絶していてもいいけれど、生きている限りは必ず前を向かざるを得ない時が来る。
生きている限り、「一生に一度」はあり得ないんだから。
どうせ前を向かなきゃならないなら、その準備をしておいた方が余計に傷つかなくて済むし、人生楽しいよね、と。
そういうことでしょ? シスターマリー。
EDEN名言②彼を愛したもの全員が、彼を失った代わりに何かを得ているんだよ
更生施設で治療中、ジナはミゲルの墓参りに行きます。
おそらく命日か何かなんでしょうかね、そこにはミゲルの母と、ミゲルの妹クラウディアがいました。
ミゲルの母は「皮肉なものですね。手術のおかげでクラウディアの視力が回復した時にはもう、生きているミゲルの姿を見ることができなくなっていたなんて」と言います。
ミゲルが「ケジメ」として殺される時、
「金が必要だってんなら相談すりゃあよかったのに……」
「いいんですよ。どっちみち俺はヤクザにはなれないって思ってましたから。……家族のことは……」
「わかってる。心配するな」
「……助かります」
という会話を幹部のひとりとしていたので、手術の費用は組織の金から賄われたんでしょうね。
エンノイアは一応人情はあるんですよ。一応。
人情っていうか少しでもジナの好感度あげようとしたのかもしれないけど、まあ、一応。
クラウディアはジナにこんな話をします。
「先日、神父様がこんなことを言ったの。
『人は何かを得ようとしたら必ず引き換えに何かを失うことになる』って。
私は『兄の命と引き換えにしてまで視力を戻したいとは思わなかったのに』って怒ったわ。
すると神父様はこう言ったの。
『クラウディアそれは違う。ミゲルの死によって何かを得たのは君だけじゃない。彼を愛したもの全員が、彼を失った代わりに何かを得ているんだよ』って……。
ジナ、きっとあなたも何かを得たのね」
くうぅ〜、めちゃくちゃ良いこと言うわ。
神父めちゃくちゃ良いこと言うわ。
さすが神に仕えてる人は言うことが違うわ。
失うことと得ることは等価なんすね。
というか、そうとでも考えないとやってられないわけですよ。
愛する人を亡くしました。何も残りませんでした。
それでは納得できないわけですよ。
そういうことなんですよ。
なのにどうして、姉は死ななければならなかったの?
「ミゲルの死によって、私は父を憎み、麻薬に溺れ……苦痛を味わっています。
でも、私とミゲルが出会わなかったとしても、私の父に対する怒りと不信は高まっていったでしょう。
ミゲルの死はいわば『引き金』でした。
私が父の元を去るための。
『父を傷つける』という目的は果たしましたが、私がここで麻薬を止めなければ、父以上に母と弟と、妹を、傷付けてしまうんです」
集団カウンセリングでこう発言したジナは、シスターマリーにもこう話しています。
「シスターマリー。私、あなたのようになりたい。人の役に立てる人間になりたいの。その為に勉強したい。そしたらいつか、父を許せるかもしれない」
そうして医学を学び、教会の医療所で働き始めたジナ。
啓蒙なカソリックで、貧しくてまっとうな医療を受けられない人たちのために仕事を始めた矢先、ジナはテロの犠牲となり死亡します。
もう一度言います。
ジナはテロの犠牲となり死亡します。
は? ですよ。
そこで? っていう。
今そこで? っていう話ですよ。
「神様は本当にいるの?」
「人間が神様を必要とするのは、この世界が無慈悲で理不尽で残酷だから。
たとえば貧しく生まれ差別され尊厳を奪われた者に向かって『たまたま運が悪かったのであきらめろ』と言っても納得はしないでしょ? 法や社会に守ってもらえなくなった人たちは結局”神”に頼るしかないんだ。
でも逆に考えれば”神様”がいる限り、世界は残酷なままだということ」
ああ~~、そういうことなんですよねえぇ~~。
とにかく僕らは何かしら理由をつけて生きていくしかない
こんな感じで、EDENでは徹底的に理不尽で残酷な世界が描かれています。
そして実際僕は、この世界は9:1で苦しみが多いと感じています。
すぐ死にたいとか言います。
朝起きたらすぐ死にたくなります。
でもじゃあ「はい死んでいいよ」ってゴツいマチェットとか渡されても、壊れたドラえもんみたいな顔するしかないわけで。そうそう簡単に死ねるもんでもないわけなんですよね。
だから僕らは、とにかく何かしら理由をつけて生きていくしかないんです。
シスターマリーの言うように、一生に一度の恋でも二度目がやってきてしまうもの。
どんな傷でもいずれは癒えてしまうもの。
とにかく生きている限り生きていくしかないんです。
生きている限り、どうしても前を向くしかないんです。
主人公エリヤは、初恋の人ヘレナの死をきっかけとして将来の伴侶ミリアムと出会います。
そしてミリアムと「子供を作ろう」「え? なんで急にそんなこと言うの?」という話の中でこんなことを言います。
「もしもペッソア(ヘレナの夫)とヘレナの死が無かったら、俺らはお互いに出会うことも今一緒にこうしていることも無いでしょ? 2人の死をきっかけに出会った俺らが、結婚して子供作って幸せに暮らしたら、あの2人の死が「無意味」じゃあなくなるってことでしょ? そしたらハッピーエンドじゃんか」
自分の存在に意味があるのか、あの人の死に意味はあるのか。
なんであの人は死ななければならなかったのか。犬死にじゃないのか。
でも、愛する人を失った代わりに何かを得ていれば、その喪失は無意味なんかじゃない。
「喪失」に価値を見出すことができるなら、「失う」ということに意味を見出すことができるなら。
それならば、価値のない自分にも、生きる意味や価値があると考えられるのではないか。
もしそうであるならば、自分がこの辛い世界でも行きていく意味になる。
結局のところ、やはり僕らは何かにすがってしか生きていけないのです。
すがりつくことによって更に自分の人生を苦しめる麻薬のような存在の「神」なのか。
誰かが見出してくれる自分の価値なのか。
魂の存在、タマシイレボリューションなのか。
それは人によって様々だと思いますが、とにかく何かしら理由をつけて生きていくしかないんです。
理由がないと、この世界は僕らが生きていくには辛すぎる。
EDENという作品は、めちゃくちゃ残酷な世界を描いていますが、だからこそ生きるのが辛いと考えている僕らに刺さるメッセージがたくさん詰め込まれています。
そして最終的には「この世界を生きていくのは辛いし悲しいことが多いけど、それでもまあ、生きていくしないよね」という気持ちにさせてくれるんです。
生きるのが辛いと感じているあなたに、ゼヒ。
オススメです。