加島屋はいかげそ塩辛が一番旨い。他の食べたことないけど。

加島屋はいかげそ塩辛が一番旨い。他の食べたことないけど。

いきなり何言ってるのこの人。
ちょっと危ないんじゃないの?
池袋で売ってるような安い葉っぱ燻した煙でも吸ってるんじゃないの?

そう思われることでしょう。
大丈夫です。ちょっと待ってください。

落ち着いて、iPhoneのサイドボタンを長押しして緊急SOSをしようとするのをやめてください。
順を追って説明します。

新潟加島屋はシャケ推しの惣菜店

まず、加島屋というのは新潟を本拠地とした惣菜店です。

惣菜店と言っても、唐揚げだとかナポリタンだとかをプラパックに入れて販売するような惣菜店ではありません。
瓶詰めの漬物や粕漬け、塩辛、たらこや筋子、といった塩蔵品を扱うお店です。

塩蔵品の他にも、鮭茶漬けの素や魚の切り身、燻製、イカの一夜干しといった魚介製品を主に販売しています。

加島屋は創業当初、地元新潟の信濃川や阿賀野川で獲れるシャケやマスの塩干物を扱っていたようで、その名残なのかシャケを使った製品が多数ライナップしています。

ただ、今は新潟県産ではなくカナダやノルウェーのサーモンを使用しています。

なんだよ、地元密着じゃねえのかよ、とか思わなくもないですが、まあ旨いもんね。キングサーモンとか、旨いもんね。

加島屋は塩辛が絶品

器に盛った加島屋のいかげそ塩辛
加島屋のいかげそ塩辛。一番旨い。他の食べたことないけど。

そんなシャケ推しの加島屋ですが、僕が言いたいのはですね、塩辛が旨いんですよ。
シャケ全く関係ないんですが、いかの塩辛が旨いんです。

その中でも「いかげそ塩辛」というものがあるんですが、これが加島屋のラインナップの中で間違いなく一番旨いんです。絶対これが一番旨いんです。ほかの加島屋製品食べたことないけどわかります。確実にこれが一番旨い。

まず、加島屋の塩辛のラインナップは3つあります。

  • いかの赤作り
  • いかの三升漬
  • いかげそ塩辛

いかの赤作りというものは、まあ普通の塩辛です。
いかの身と肝に塩を加えて発酵させたもので、肝の色味で赤茶色に仕上がることから「赤作り」と呼ばれます。

いかの三升漬は、いかの身を醤油、麹、醤油をそれぞれ一升ずつの分量で漬け込んだもの。

そしていかげそ塩辛は、いかの足と耳のみを使って赤作りした逸品。

これ。
このいかげそ塩辛が本当に旨い。
加島屋の中で一番旨いんです。他の食べたこと無いけど。

加島屋のいかげそ塩辛にはすべてが詰まっている

塩辛に使われるいかの部位の名称
いかの部位の名称©たくろう

まず、いかの塩辛といえば、一般的にはいかの身を使うじゃないですか。
げその部分である足でもなく、頭についてる三角の部分である耳でもなく、体の部分。身を使うじゃないですか。

でも、いかげそ塩辛はあえて身以外の部分、足と耳だけを使った塩辛なんです。

僕らが塩辛に求めるもの。
それはいかの身のコリコリとした食感、甘み、そして肝の圧倒的な旨味とブレンドされた暴力的な塩辛さ。これですよね。

普通のいかの赤作りではこのコリコリとした食感がありながらの身のやわらかさ、甘みが楽しめます。

でもね、僕がいかに求めるものはそんなヤワなものじゃないんですよ。ヤワと書いて文字通り柔なものじゃないんです。もっとこう硬派な、カチコミも辞さないといった気概を感じるようなコリコリ感なんです。

確かにいかの身は美味です。
新鮮ないかをサッと焼いたものなんかは、ふっくらモチモチとした食感と旨味のコラボレーションがたまらない一品です。確かに身も旨い。それは認めます。

だけれど、いかの塩辛にそのふっくらモチモチ感を求めているかというと、そうではない。
そんなゆるふわ感なんぞ求めていない。

圧倒的な旨味と暴力的な塩辛さ。
そして僕らの咬合力を試しているかのような絶対的なコリコリ感なんです。

加島屋のいかげそ塩辛は、その名の通り、僕が求めているこの絶対的なコリコリ感を持ついかの足と耳だけを使用した塩辛なんです。やばいでしょこんなの。こんなもん決まってるでしょ。

幼馴染で小さい頃から一緒になってサッカーやったりバカなことやってたあの子が、中学生になってお互いにお互いを意識しだしてちょっと気まずくて疎遠になっちゃってたけど勇気を出して地元の花火大会に誘ったら「え……うん、行く」とかちょっと俯きながら言うからこっちもなんか余計にドギマギして「なんで俺こいつに緊張してんだよ……」とか思いつつ当日待ち合わせ場所に行ったらあの子浴衣で、思わず見とれちゃってたら「変、かな……」なんて言ってくるから慌ててなんでも無いように「べ、別に。普通じゃね?」とか言っちゃって、でも何で自分がドキドキしてるのかわからなくて恥ずかしくて何を話したらいいかわかんねえよ! とか思ってたらドン! と花火が打ち上がって2人で見とれてふいに横を見たら花火に照らされるあの子がキラキラしてて、結局花火よりこいつの顔ばっかり見ちゃってたなと思ってた帰り道すがら「来年もまた、一緒に行きたいな」って言われた時くらい決まってるでしょ。

好きに決まってるでしょ、こんなもん。

そもそもの話なんですけど、僕はいかげそが好物なんですよ。
ワンチャンで身よりも好きすらあるくらいの好物なんです。

生ダコを刺し身にする時なんかも、身よりも吸盤とか皮のほうにウキウキするようなタイプなんですよ。

そんな僕に、いかげそだけを使った塩辛なんて食べさせたもんじゃあもうそんなもんオチるわ。即堕ちだわ。2コマ目にもう屈してるわ。
それはもう絶対加島屋はいかげそ塩辛が一番旨いとか言っちゃうわ。
他の食べたことないけど言っちゃうわ。

加島屋はいかげそ塩辛が一番旨い。他の食べたことないけど。

加島屋のいかげそ塩辛に入っているゴロっとしたげそ
見てこのゴロっとしたげそ。コリッコリやで。

というかなぜ僕が加島屋でいかげそ塩辛しか買わないかといいますと、まあ単純にいかげその塩辛が好きだってことも大いにあるんですが、実はこのいかげそ塩辛、加島屋のラインナップの中で1,2を争う安さなんですよ。

加島屋は安政2年という、わけのわからないくらい古くからやっている老舗中の老舗。
安政とか全然聞き覚えないわと思って調べてみたらペリーが江戸に来たあたりの時代みたいです。すげえ。すげえけど全然わからん。

そんな完膚なき老舗だから、ってわけではないんでしょうけど、全体的に少し高級なお値段設定になっているんですよ。

例を出しますと、看板商品の「さけ茶漬け」は100g1,250円、「キングサーモン塩漬け」1切れ70gは600円となっています。
いや、美味しいんでしょう。美味しいんでしょうけど、まあおいそれと気軽に手が出せるものではないわけですよ。

塩辛も「赤作り」「三升漬」はそれぞれ100g500円と、決して手が出せないというわけではないんですが、商品の前で「ホウ……」と腕組みして顎をさすってしまう感じのお値段になっているわけです。

そこにきて「いかげそ塩辛」ですよ。
こちら100g、なんと300円です。
300円ですよ、300円。

加島屋のラインナップの中では最安値の部類ですよ。
いかげそ塩辛より安いのっていうと「なめ茸」で70g300円くらいのもんですよ。

(※価格はすべて2020年7月現在の「加島屋オンラインショップ」表示のものです)

僕はこの「安さ」っていうのはわりと「美味しさ」に繋がっていると考えています。

値段というのはそのまま商品の価値です。
「高い割にそんなに美味しくないなあ」と感じるものもあれば、「このお値段でこんなに美味しいものが食べられるの!?」と感じるものもあります。

「安くて美味しい」というものは、単純にその価値が値段以上のものとなり、顧客の満足度がハネ上がるということになります。

僕にとっての「いかげそ塩辛」はまさにそれで、

「このお値段でこんなに美味しいものが食べられてしまうの!? いかげそだけを使った塩辛なんて加島屋以外でみたことないよ! 僕いかげそ大好物なんですけど! 塩辛も大好物なんですけど! 好物がドッキングしたものがこんなお値段で!? ウソでしょ!?」

となり、加島屋のいかげそ塩辛狂信者が産まれるというわけです。

恐らくイカの身ではなく、魚で言うところの「アラ」的な部位であるげそとえんぺらを使用しているからこそのこのお値段なのではないかと。
いかの赤作りを1級品とすると、いかげそ塩辛は2級品という位置づけなんだと思います。

でも僕のようないかげそ大好き人間にとってはまさに僥倖。
好物が安く手に入れられるとか本当に嬉しくてしょうがない。

魚のアラだって、それを狙って買う人がいるくらいですよ。
安くて旨いとか最高! って気分で買う人がいるわけですよ。

たまにスーパーとかでタイのアラひとつだけ持ってホクホク顔でレジに並んでるおっさんいるでしょ。
僕がいかげそ塩辛買う時、あんな顔してるから。

安くて好物で美味しいなんて、こんなもん買うでしょ。
これだけあれば良いってなるでしょ。
他のものに目がいかなくなるのも仕方がないでしょ。

間違いなく言える。
加島屋はいかげそ塩辛が一番旨い。

他の食べたことないけど。

スポンサーリンク

日記

Posted by たくろう