厄年が調子乗りすぎてる件
最近本当にもう色々やる気がおきないんですよ。
仕事なんてそもそもやる気もモチベも何もなくただ淡々と1日を終えるための苦行としてやっているのでやりたくないのは当然として、以前なら仕事中から「あー疲れたビール飲みたい。今日はカラアゲ作ってビールだな。ついでにポテトも揚げちゃおうかしら。油を使うならいっぺんにやっちゃったほうがコスパいいもんね。あぁ〜すっごい楽しみになってきた。早く仕事終わらねえかな。もう今すぐビール飲みたい。ビール飲めるならクビになってもいい。なんならクビにしてくれ! 俺にビールを飲ませてくれ!! ビールを飲ませろ!!!!」って感じで仕事終わりの酒と食事が楽しみだったんですが、最近はそれすら大して楽しみでもなくなってきているんです。まあ帰ったら酒は飲むんですけど、そこまでのパッションじゃない。「ウヒョー! 酒! 酒ぇぇ!!」みたいな、ダンジョン帰りの冒険者みたいなノリではなくなってしまっていて、「飲まないとなんか損してる気がするからとりあえず飲むか」くらいのテンションで飲んでる。
APEXも相変わらずやってるんですけど、以前だったら3人からフォーカスくらって嬲り殺されても、ちょっと顔出したらセンチネルで抜かれてプライベートライアンのノルマンディー上陸時のモブ兵士みたいな死に方しても「があああああ! もう一回やるぅうぅぅ!!!」くらいのテンションでやっていたんですが、最近はもう惨殺されてもチャンピオン取っても「ッスゥー……」くらいなもんなんです。
高揚感も何もない。ディズニー映画に出てくる感情を獲得する前のAIみたいになってる。
そんな虚無の感じで日々の労働をこなしていたんですけど、先日職場の夜勤専門の派遣社員がトびましてですね、奇跡の27時間拘束労働をすることになったんですよ。
本当にもうね、意味がわからない。27時間ですよ、27時間。そんなもん被災地の役所の市長じゃないですか。朝7時に出勤して、翌日の10時まで働くんですよ。おはようからおやすみどころじゃない。おはようからおはようですよ。揺り籠から墓場までじゃないんですよ。こっちが墓場に行くわって話なんですよ。納骨されるわって話なんですよ。
そんな明らかにこっちを殺そうとしてるとしか思えない労働の後も、その派遣の穴を埋めるために連続夜勤ですよ。本当にもうやってられない。お前の穴を埋めるっていうかお前を穴に埋めたい。お前のアナルにビーズを埋めたい。何を言っているのか全然わからない。それくらい嫌。
しかもそのせいで僕の3連休がおじゃんですよ。君たちみたいなまともな職業の方々は普通に土日休みだの祝日休みだのでコンスタントに連休があるんでしょうけど、こちとら底辺職の介護士ですからね。逮捕されたタレントが罪滅ぼしのためにやるような罪人の職業ですからね。下手したら月に連休が1回しかないとかザラにあるわけですよ。そんな僕の3連休が、わけのわからない派遣社員のジャンプで消えるわけですよ。まじで辛い。
どうして……なぜこんなことに……何も悪いことしてないのに……って感じで絶望してたんですけど、よくよく考えると僕、厄年だったんですよ。特に一番ヤバいとされる41歳の本厄だったんです。
なぁんだ厄年のせいかー、じゃあしょうがないよね、ってなるわけないやん。「厄年では大きな災難や不幸を避けるために慎んで過ごしましょう」とか言われますけど、こちとら十分謹んで過ごしてるわけですよ。死んだ魚の目をして粛々と老人の尻を拭き続けてますし、酒も大して飲めてないし、APEXでも粛々と殺され続けてるんですよ。これ以上どう慎めって話なの。穴に埋められて即身仏にでもなれってか? 死ねというとるんか? お? 漆飲むぞこのやろう。
とか思いながら消えたい感じで仕事をしてたらですね、なんか左手が痛いんですよ。左手の中指の付け根が痛くて動かしづらいんです。
おかしいなあ、ぶつけた覚えもないのになあ、なんて思いながら深夜になっても眠らない老人の狂ったナースコールの対応していたんですが、あれよあれよというまに左手首から先が腫れてきまして、すげーパンパンになって指がまともに動かせなくなって、熱感も出てきたんです。なんかクリームパンみたいになってんの。赤ちゃんの手みたいになってんの。全然かわいくない赤ちゃんの手みたいになってんの。もう痛いし動かせないし老人の世話とかしてる場合じゃないんですけど夜勤中で僕以外に職員がいないのでしょうがないから朝まで頑張って職場の看護師に見せたら「蜂窩織炎っぽいねえ。とりあえず内科行ってみたら?」とか言われたんで仕事終わりに内科に行ったんですよ。運が悪いことにその日は日曜日だったんで、必死になって日曜にやってる内科を探して受診したんですよ。
そしたら「いや、内科に来られても……」みたいな反応されるんですわ。「皮膚の異常なんだから皮膚科だろキチガイ」みたいな顔されるんですわ。
それでもなんとか診てもらって「なんかわかんねえけど抗生剤出しとくから飲んどけばぁ?」みたいなノリで抗生剤をもらいましてですね、翌日の月曜日はかかりつけの皮膚科に行くことを固く決意して薬飲んで寝たんです。
そんで翌日ですよ、翌日。なんか蜂窩織炎って調べてみると、放置すると菌が回って切断しなきゃいけなくなるとか最悪死ぬとか物騒な文言が踊ってまして、死にたい感じとか言ってる僕もさすがにそんなに気軽に死にたくないじゃないですか。死因が厄年とか嫌すぎるじゃないですか。
だもんで開院時間を待たずして病院ダッシュですよ。開院15分前くらいに到着ですよ。
そしたらなんかいつも割と混み合っているクリニックに人気がなくてですね、「あれえ〜? やだな〜。こわいな〜」と思いながら覗いてみたんです。そしたら入り口のとこに「本日休診」とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。バカかと。
こちとらキッチリてめーんとこのHP確認して、やってるっつーからイソイソと来たんじゃねーか。それがなんでやってねーんだよ。最悪、やってねーならやってねーってHPに書いとけよボケが。
土曜日はやってたから日曜と月曜も休んじゃおっかなってか。おめでてーな。
こちとら派遣社員に連休を粉砕されながら左手パンパンに腫らして、腰の位置に手を下ろすだけで脈動に合わせるようにズキズキする痛みを堪えながら、しょうがねーから「肩がこって仕方ないなあ」みたいな顔して右肩に左手置きながらわざわざ来たんだよ。ドヤ顔でなにが「本日休診」だよ。もうみてらんない。入り口のガラスに映る僕の顔、もうみてらんない。
本当もうしょうがないから、そっから他の皮膚科探してやっと見つけてようやく辿り着いたらめちゃくちゃ混んでて2時間待ちで、採血されたら数値が高いから今飲んでるやつより強い抗生剤出しますねー言われて、やっと終わったとゲンナリして病院出たらめちゃくちゃ雨降ってて、当然傘なんて持ってないからビッチョビチョになりながら薬局行って薬もらって、家帰って一息ついたらぎっくり腰ですよ。
左手も動かないし腰も痛すぎて動けないし、もうなんなのこれ。カフカの変身より変身ですよ。芋虫より芋虫ですよこんなもん。
抗生剤効いてきてやっと手の腫れもひいてきて、「んぎいぃぃい❤︎❤︎」とか情けない声出しながら必死になってストレッチやったおかげでぎっくり腰もなんとか動けるようになったんで今はこうしてタイピングができる程度には回復したんですけどね、なんなの厄年。
これであと半年あるんでしょ? おかしいやろこんなもん。
やりすぎ。厄年さん明らかにやりすぎだから。死んじゃうから。死んだら元も子もないから。死んだら厄年とか関係なくなるから。
もうちょっとこう、手心をくわえてもらいたい。これからも慎ましく生きますんで。よろしくお願いしますよ。勘弁してくださいよ、ほんと。